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「冷やし赤ワイン」や「オンザロック」もアリ!温度帯の基本とおすすめの変化球的な飲み方

2021.7.29

ワインに限らず、おいしく飲んだり食べたりするために、温度帯はとても大事。感じる香りや味わいに大きな差が出てきます。

例えば、溶けて液状になってしまった“フルーツシャーベット”。食感の変化はもちろんのこと、やたらと甘くて食べる(飲む?)のはあきらめた…という経験はありませんか?

ワインをおいしく味わうためには、まず基本の温度帯を知ること。今回はそこから始めますが、実はその先にもおいしい楽しみ方があります。ワインの知識があって普段からよく飲む人は、基本を知っているがゆえに、かえってワインの可能性を狭めてしまっているかも!?

そこで、世界各国でも楽しまれているスタイルをベースに、おすすめの変化球的な飲み方を伝授。基本を知ったうえでのアレンジができれば、ワインはもっと自由に楽しめるはずです。 

ワインをおいしく飲むための【基本の温度帯】

まずは、基本の温度帯を把握しておきましょう。カギとなるのは酸味と渋みと甘味。冷たいと、酸味と渋みは際立ち、反対に甘味は抑えられる傾向にあります。逆も然り。酸味と甘味の点では、冒頭のシャーベットの例が物語っていますね。

ここでは、ワインのタイプ別による一般的な指標をご紹介します。

■白ワイン
・辛口:7~14℃
・甘口:5~8℃

タンニンによる渋みが少ない白ワインは、冷やして飲むのが基本。でも、樽熟成や熟成感のあるものは、少し高めの温度(15〜16℃)の方が香りや複雑味を感じることができるので、おいしく楽しめるものが多いと思います。甘口の白ワインは冷やして。飲む前に3〜4時間くらいは冷蔵庫に入れておきましょう。

■赤ワイン
・ライトボディ:10~12℃
・ミディアムボディ:13~16℃
・フルボディ:16~18℃

赤ワインはタンニンを含んでいますので、渋みがポイント。ボディ(アルコール度や果実の凝縮感など)も影響してきます。白ワインより少し高めの温度帯が基本で、一般的に「室温で」と言われますが、高温多湿の日本の室温のことではありませんので、間違えないように!

■ロゼワイン
・辛口:7~14℃
・中甘口:7~10℃

白ワインと赤ワインの両方の要素を持つロゼですが、温度帯としては白ワインと同様に考えてOKです。数としては少ないですが、凝縮感や熟成感のあるロゼは、少し高めの温度(15〜16℃)でもいいと思います。

■スパークリングワイン
・一般的なスパークリング:5~8℃
・シャンパン:4~10℃

シュワシュワとした泡が重要な要素ですから、冷蔵庫でしっかり冷やすのが基本です。甘口のものは特にしっかりと!ワインクーラーの氷水で冷やす時も、ボトルのネック部分までちゃんと冷やしましょう。一方、熟成感のあるシャンパンなどは、複雑な風味を堪能するために、やや高めの10℃くらいで味わうのがおすすめです。

以上がタイプ別の基本の温度帯ですが、「酸味と渋みと甘味がカギとなる=そのワインごとに楽しめる温度帯が違ってくる」と言えます。そこで、基本の範囲からちょっと幅を広げながら、ワインの変化球的な楽しみを追究してみましょう。

邪道じゃない!【冷やし赤ワイン】におすすめのワイン

赤ワインはタンニンによる渋みとボディがポイントですが、ワインは冷やすとどんな効果があったかをおさらい。酸味と渋みがクリアになり、甘味は抑えられるという傾向アリ、でしたね。

それゆえ、果実の凝縮感や甘味がしっかりとあり、アルコール度数が高めの赤ワインは、白ワインと同様に10℃前後に冷やすと楽しめるものが多くあります。

バーベキューやアウトドアなどにもぴったりの、濃くてしっかりとしたリーズナブルな赤ワインたちは、冷やすと隠れていた酸味もひょっこり顔を出してスッキリ飲みやすくなり、和食にも合わせやすい味わいに変化します。

もちろん造り手にもよりますが、編集部で試飲検証した結果、比較的温暖な地域で栽培されるワインがほとんど。産地と品種で代表的なものを以下に挙げておきます。

■アメリカ・カリフォルニア《ジンファンデル、ピノ・ノワール》
■アルゼンチン《マルベック》
■チリ《カベルネ・ソーヴィニヨン》
■フランス南部《グルナッシュ・シラーなどのブレンド》
■スペイン南部《ガルナッチャ(グルナッシュ)、モナストレル》
■イタリア南部《アリアニコ、ネロ・ダヴォラ、カンノナウ(グルナッシュ)、プリミティーヴォ(ジンファンデル)》

この「冷やし赤ワイン」とは逆に、温めると渋みが抑えられて甘味が引き立ってくるという効果を活用しているのが、フランスのアルザスやドイツで冬場に親しまれているホットワインです。フルーツやシナモンなどのスパイスを足して、複雑味もプラスしているわけですね。

推奨する造り手もいる!シャンパンやカバの【オンザロック】

うだるような夏が毎年のようにやってくるようになってしまった日本。地中海沿岸のヨーロッパの人たちのワインスタイルからも学びを得ましょう。その一つが、ワインのオンザロックです。

冷やすのが絶対おすすめのスパークリングワインなら、氷を入れてキンキンに冷やすというのは、まず理にかなっていますね。

「シュワシュワとした炭酸と味わいが薄まってしまうじゃないか!」という声も聞こえてきそうですが、実は最近は、オンザロックや割って飲むスタイルを想定して甘めに造られたシャンパンが、伝統と格式がある大手のシャンパン・メゾンから発売されているのです。

「とは言え、シャンパンは高価だから…」という方には、イタリアの甘口泡のアスティ・スプマンテプロセッコ、スペインのカバのセミ・セコ(中甘口)がおすすめ。

最近では“氷を入れて飲むシャンパン”のトレンドを受けてか、カバも同様の商品が売られています。カバはシャンパンと同じ製法で造られるものの、価格がリーズナブルですから、気軽に試せるのではないでしょうか。

■カバについてはコスパ最高&家飲みの味方、スペインのスパークリング「cava」を極めるを参照

また、オンザロックのスパークリングワインを楽しむコツは2つ。それは、大きめのワイングラスとロックアイスを使うこと。冷凍庫で作った氷はすぐに溶けやすいので、ワインが水っぽくなりがちです。また、氷に冷凍庫特有のにおいがついていることが多いので、ワイン本来の香りが感じにくくなってしまうのです。

薄まらないアイスキューブの活用も

「オンザロック用のシャンパンでもなく、ブリュット(辛口)なスパークリングをなるべく早くキンキンに冷やしながら、味が薄まらないようにしたい」という方は、市販のアイスキューブ(氷の代わりになる溶けないキューブ)を使うというのも一つの手です。

最近はポリエチレンや花崗岩でできたものが100円均一のショップでも販売されていますし、高級感のあるステンレス製のものも通販などで見かけます。

見た目の雰囲気が変わってしまうので、ちょっと“ワイン気分”が削がれてしまう気もしますが、「家飲みなら気にならない!」という方にはおすすめの方法でしょう。

開けたら苦手だったというワインも、温度帯を変えて

今回は基本となるワインの温度帯についてまず学びつつ、温度を変えることでさらに違った風味を楽しむためのポイントもご紹介しました。

繰り返しになりますが、カギとなるのは酸味と渋みと甘味で、以下のような傾向を学びました。

・冷たい=甘味は抑えられ、酸味や渋みが際立つ
・温かい=甘味が引き立って、酸味や渋みは穏やかになる

「このワイン、思ったよりも濃くってアルコール感も強く感じるから、ちょっと冷やして飲んでみようかな」なんてすぐに頭に浮かぶようになったら、かなりのワイン通!例外もありますのでいろいろと試しながら、ワインを自分なりに自由に楽しんでみましょう。

 

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佐野 嘉彦
ニューヨーク発祥のレストラン評価ガイド『ZAGAT』日本版の編集マネージャー、ワインスクールでの講師、料理通信社での勤務、チーズに特化したWebマガジンの編集長を経て、現在「sembrar(センブラール)」を屋号とし、食を中心とした情報発信を行っている。JSA認定ワインエキスパート、NPO法人チーズプロフェッショナル協会幹事、Guilde Club Japon認定コンパニョン・ド・サントュギュゾン、フランスチーズ鑑評騎士(シュヴァリエ)。
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