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【初心者お悩み解決】ワインって、ワイングラスで飲むべきもの?

2021.5.13

家飲みが増えてきた昨今、「たまにはワインでも飲もうかな?」と思っても、ワイングラスを持っていない人も多いのではないでしょうか。

今やワインは、ハレの日だけのお酒ではありません。普段足を運ぶスーパーやコンビニでも、様々な種類のワインが常に販売されています。ワインは気軽に買えるのに、グラスがないから飲めない、なんて思っていたらもったいない!

極論、どんな器で飲んだっていいんです。結論を先に出してしまいましたが、これだけだとこの記事がここで終わってしまうので(笑)、ワイングラスがなぜあの形状なのかを説明しつつ、コップでもタンブラーでもなんでもOK!の理由を示したいと思います。さらに、家庭によくある器の中で、より最適なものをご紹介します。

ワイングラスに様々な形状があるワケ 

スパークリングワインは、細長い形状のフルートグラスで飲むことが多いですね。縦に細長いのは、立ち上る泡がキレイに見えるように。そして、比較的飲み口の経口が小さいのは、立ち上る泡の持続性を高めるためです。

シャンパンタワーなどで見る、平べったい形のクープグラスもスパークリングワイン(というか主にシャンパン)用のグラスとして有名です。こちらは、広口で底が浅いので、立ち上る泡でロマンチックな気分には浸れないかもしれませんが、シャンパンの芳醇な香りと味わいを楽しめる形状です。

つまり、形状によって楽しむ目的が異なるのです。

これは、スパークリングワイン用のグラスだけではありません。自宅で高級ワインを飲むような人の中には、ブドウの品種によって、またワイン(銘柄)によって、ワイングラスを変える人もいます。

なぜなら、グラスの形状によって、飲むワインの長所が最大限に引き出せるから。同じワインでもグラスによって味わいが変わる、なんてこともあるのは事実です。

■グラスで香りや味わいが変わる不思議に興味がある方は、グラスをくるくる・・・ワインの【スワリング】の意味とNG、すべて教えます!もぜひ参照してください。

ワイングラスの細い“脚”は、本当に必要?

よく見るワイングラスは、液体を入れる器部分とその下に付いた細い棒のような“脚”、さらにその下に、テーブルに置けるように土台が付いています。この“脚”は、見た目のカッコよさのためにあるのではなく、言わば、飲む時の“持ち手”

液体が入った部分を手で掴むと、体温でワインの温度が上がってしまいます。ワインは温度によって香りの立ち方や風味が変わってくるので、その繊細な風味を損なわないためにこの形状になっているのです。

しかし!

ハレの日でもない日常で、帰宅途中にスーパーやコンビニに立ち寄って買ったワインを気軽に飲む…そんな時に、飲む時にちょっと触れた手の温度でワインの温度が上がって風味が損なわれた、と気にする人ってどれくらいいるのでしょう。

そして!

この“脚”が付いていることによってグラスに高さが出て、洗いにくい、食器棚にしまいにくいというデメリットもあったりします。このデメリットのせいで「ワイングラスを購入しにくいから家でワインを飲まない」というのはとてももったいないことです。

ワインがカジュアルに飲まれるようになって、有名なワイングラスメーカーも“脚”のないワイングラスを製造、販売するようになりました。ですので、普段飲みには、ワイングラスの“脚”はなくてもいいもの、だと思っています。

なぜワイングラスは、膨らんだ形状なの?

ワイングラスのもう一つの特徴は、液体を入れる器部分の真ん中あたりが、少し膨らんだ形状をしていることです。この形状の理由は2つあります。

まず1つ目は、球体に近い形にすることによって、器の中に広い空間ができ、そこに香りが留まるようになっています。そして、飲み口部分をすぼめることによって、その香りがグラスの外に出にくい形状になっているのです。

2つ目は、グラスに口を付けて傾けても、ワインが一度に大量に、口の中に入ってこないようにしているということ。ワイングラスは、立っている状態だと真ん中あたりが膨らんでいますが、真横にすると、この膨らみ部分がくぼみとなって、もう一段傾けないと液体が口の中に流れてきません。

ワインは味だけでなく香りも楽しむお酒。大きめのワイングラスだと、縁に口を付けて傾けると、グラスの中に鼻も入ると思います。傾けてもなかなかワインが口の中に入ってこないので、その分、グラスの中で広がった香りを楽しむことができる、というわけです。

ワインをグラスに並々注がない理由もここにあります。だいたい、膨らみの頂点よりやや下ぐらいまでしか注ぎませんが、上半分は香りを楽しむために空けているのですね。

あったほうがいいけど、なくてもいい“曲線”

このワイングラスの膨らみの角度は、緻密な計算のもと設計されているという話を、以前グラスメーカーの方から聞いたことがあります。飲む時にグラスを傾ける角度から口の中に入ってくるワインの量や、舌のどの部分にワインが広がるのかも考慮して計算されていると。

個々のワインを最大限においしく飲んでもらうための緻密な計算は、得も言われぬ複雑な香りや味わいを持つ高級ワインなら話は別ですが、日常で気軽に飲むワインにはちょっと贅沢かもしれません。

香りは控えめかもしれないけど、ピュアなブドウの風味を楽しめる、比較的若めのワイン。カジュアルなワインは、赤でも白でも、口当たりが良く飲みやすいことが美点なので、シンプルに味わいたい。だったら、思い切り傾けなくても素直に口の中に入ってきてくれる形状の方が、ワインそのものを楽しめると思うのです。

口の中にすーっと流れ込んできて、ピュアな味わいが口いっぱいに広がる。カジュアルワインはそんな風に楽しみたいものです。

気にしたいのは、縁の厚みと経口の広さ

1本5,000円を超えるようなちょっといいワインでない限り、ワイングラスは無くても構わない、という理由はご理解いただけましたでしょうか。タンブラーでもロックグラスでもコップでも、カジュアルなワインなら十分楽しめます。

実際に、ワインを日常的に飲んでいるヨーロッパの国々、特にイタリアでは、自宅で普段飲みするのは1,000円以下のワインが多く、注ぐのはいわゆるコップの形状のワイングラス。日本でも、ワインを造る人たちは、日常ではコップでワインを飲むことが多いそうです。

ただ、家にあるいくつかのグラスの中で最適を選ぶとしたら、できるだけ縁のガラスが薄くて、経口が広く、容量が小さいグラスの方が、よりおいしくワインを飲めると思います。

■縁の厚み

口を付ける部分が薄手の方が、グラスの中の飲み物の味わいをシャープに、ストレートに感じることができます。ワインに限らずビールでも、最近は薄口のグラスで楽しむ人も増えてきていますね。

逆に厚みがあると、丸みや温かみを感じます。温かいものは、薄手よりも厚みがある器の方が向いていますが、もしかしたら、ジューシーで酸も渋みも穏やかな赤ワインだったら厚みのあるコップの方がおいしく飲めるのかもしれません。

■経口の広さ

ワインの香りを楽しめます。経口が狭いと、ワインの香りが鼻に届きにくいのです。グラスに入れたワインの香りと、ボトルの口からワインを香る比較は少々大げさかもしれませんが、どちらがより香りを楽しめるかは、火を見るより明らかですね。

■容量の少なさ

グラスにたくさん注がずに済むので、温度変化と酸化による味の変化も最小限に抑えられます。

素材に関しては、やはりガラス製が一番適していますが、最近はプラスチック製のワイングラスも存在します。においがついていなければ、プラスチックでも問題ありません。

■陶磁器

マグカップや湯呑みなどもOKです。ただワインは、香りや味の他に色も楽しむお酒なので、外観からの情報が得にくいという欠点はあります。

■金属製

どうしても金属のにおいを感じてしまうので避けた方がいいでしょう。

■紙コップ

紙、もしくは内側に塗ってある蝋のにおいがあるのでこちらも避けた方がいいでしょう。お花見など屋外でワインを飲む時などは、プラカップの方が適しています。これも、できれば経口が大きめのものの方がおすすめです。

カジュアルワインにおすすめのグラス

それでももし「ワイン用のグラスを1脚は持っていたいな」と思うのであれば、100均の薄口グラス木村硝子のピッコログラスがおすすめです。グラスの扱いや保管もたやすく、使い勝手のいいワイングラスです。

■100均の薄口グラス

グラスはある意味“消耗品”。「ワインを楽しむ」という意味においては、割れることを恐れてなかなか使えない高級ワイングラスよりは、よっぽど価値が高い一品ではないでしょうか。脚がないのが何よりも便利!

■木村硝子のピッコログラス

よくあるワイングラスに近い形状。だけど、脚が短いので扱いやすく、なんともキュートなフォルム。上記の10倍の価格はしますが、それでも1,000円ちょっとで買えるワイングラスはコストパフォーマンス抜群です。

確かにワインは、小難しい一面もあり、ちょっと澄ました顔で飲むのがかっこいいのかもしれませんが、ソファーでくつろぎながら、気取らずに楽しめるお酒でもあります。そんなスタイルで飲むワインは、脚付きグラスより、コップ型の方が似合います。

ただし、コップやタンブラーは、膨らみがなくストレートな形状なので、グビグビ飲めてしまいます。ワインはビールの倍以上のアルコール度数があるので、飲み方にはご注意を! その意味からも、容量が大きくないグラスの方がおすすめです(笑)

ワイングラスがなくても、家飲みワイン、ぜひ楽しんでください!

 

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wine@MAGAZINE編集部
すべてのワイン好きのために、東奔西走!ワイン初心者のお悩みを解決したり、ワイン通のためのお役立ち情報を取材したり…と、ワインの世界を日々探究中。plus wine, precious life!
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