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【ヴィオニエ】テロワールでどう違う?主要産地別の品種ワインの特徴

2021.11.15

シリーズで展開している【テロワールでどう違う?主要産地別の品種ワインの特徴】。今回のテーマ品種は、ヴィオニエという白ブドウです。

同じブドウ品種から造られたワインであっても、産地、造り手、ヴィンテージ(収穫年)、熟成、保存管理などによって、ワインの風味は大きく異なります。でも、品種とそのブドウが造られた産地の特徴を知っておくと、どんな香りや味わいのワインなのかを判断する大まかな目安となり、自分好みのワインを選ぶ時にとても役に立ちます。

まずは、ヴィオニエという品種自体が持つ主な特徴から確認していきましょう。

ヴィオニエの主な特徴

ワイン用の白ブドウとして国際的な認知度も高いヴィオニエは、房や粒は比較的小さめのブドウ。糖度が上がりやすい一方で、酸度は下がりやすいという特徴があります。

ヴィオニエのルーツと歴史

フランス・ローヌ地方北部が原産地と言われますが、広大な領地を治めていたローマ帝国時代に、現在のクロアチア辺りから持ち込まれたという説もあり、そのルーツは明確ではありません。ただし、ローヌのワインに欠かせないブドウの一つとして長い歴史を持つのは確かです。

1960年代に栽培が落ち込み、絶滅の危機に瀕しましたが、1980年代に香りも果実味も豊かな白ワインが人気となって、再興。ローヌ以外の産地でも栽培されるようになりました。完熟させるために充分な日照量を必要とするため、世界各地の温暖なエリアで栽培されています。

ヴィオニエ 品種由来の風味

糖度が上がりやすい一方で、酸度は下がりやすいというブドウの特徴があり、酸味は控えめ。さまざまな香りが華やかに広がるのが大きな特徴と言えるでしょう。また、トロリとした粘性の高い質感(テクスチャー)も個性の一つです。

香り アプリコット、桃、オレンジ、ジャスミン、生姜、白胡椒
味わい たっぷりとした果実味とアルコール感、控えめの酸味

それでは、ヴィオニエの2大産地別に主な特徴を紹介しましょう。

フランス:コート・デュ・ローヌ地方

今も昔も“ヴィオニエのワインの主戦場”といえば、このコート・デュ・ローヌ地方。アルプスから地中海へと流れるローヌ川の流域には、南北250kmにも及ぶ銘醸地が広がっています。その北部は急峻な斜面がある渓谷で、夏は暑く冬は寒い半大陸性気候。ヴィオニエの代表産地、コンドリューシャトー・グリエはこの北部にあります。

アプリコットなどの黄色いフルーツの香りに加え、ジャスミンや白いユリのような花の香りが感じられる王道のヴィオニエワインで、酸味は控えめ。豊かな果実味が主体となった厚みのある味わいのものが多く造られています。

また、樽熟成によって生じるスパイスやバニラの香り、さらにハチミツのニュアンスが重なったものもあります。

2017 レ・コントゥール・ド・ドポンサン・ヴィオニエ・ヴァン・ド・ペイ・デ・コリンヌ・ローダニエンヌ/フランソワ・ヴィラール
産地
フランス・コート デュ ローヌ地方
品種
ヴィオニエ
タイプ
ミディアムフル辛口 白
2016 コンドリュー・ブラン・ヴェルニヨン/ドメーヌ・ジャメ
産地
フランス・コート デュ ローヌ地方
品種
ヴィオニエ
タイプ
ミディアムフル辛口 白

北部のコート・ロティという産地では、黒ブドウのシラーに少量のヴィオニエを混ぜて、一緒に醸す赤ワイン造りも伝統的。シラーの渋みを和らげ、華やかな香りを加える効果があり、ヴィオニエは名バイプレイヤーとして活躍しています。

ローヌの南部は地中海に近づくにつれ、なだらかな平地や丘陵地が多くなります。日照量も増え、南部は地中海性気候の特徴が強くなりますが、アルプスや中央山塊から地中海に吹き抜ける北風「ミストラル」の影響があり、ワインにも冷涼感が残るのが特徴。ここでは、単一よりも他の白ブドウとブレンドしたワインが多く造られます。

また、フランス南西部に広がるラングドック=ルーション地方でも、単一で造られることはほとんどなく、ブレンド用の品種として使用。日照量の豊かさに恵まれた地域で、完熟した桃のような果実味たっぷりのワインが造られています。

2019 コション・ヴォラン・ブラン/シャトー・ド・キャラギーユ
産地
フランス・ラングドック地方
品種
ヴィオニエ、マルサンヌ、グルナッシュ・ブラン
タイプ
ミディアムライト辛口 白

アメリカ:カリフォルニア州ほか

アロマティックで果実味たっぷりの白ワインが人気となった1980年代。ワイン大国のアメリカでもヴィオニエ栽培が盛んになっていきました。

サンフランシスコから南に延びるカリフォルニア州のセントラルコーストでは、早い時期からシラーやグルナッシュなどのローヌ系品種を栽培。日照量豊かな地中海性気候のもと、白ブドウのヴィオニエもしっかり完熟し、アルコール度が15%にも及ぶ力強いワインが造られるようになりました。

香りも南国フルーツの香りがしっかり。ややクリーミーな口当たりで、華やかなフレーバーが口の中でしっかり膨らむものが多いのが特徴です。

2018 ヴィオニエ・ノース・コースト/クライン
産地
アメリカ・カリフォルニア州
品種
ヴィオニエ
タイプ
ミディアムライト辛口 白
2015 カレラ・マウント・ハーラン・ヴィオニエ/カレラ・ワイン・カンパニー
産地
アメリカ・カリフォルニア州
品種
ヴィオニエ
タイプ
フルボディ辛口 白

同じアメリカの西海岸でも、北側に位置するオレゴン州では、ややエレガントなスタイルのワインに。白い花の香りや白胡椒などのスパイスのニュアンスが生かされ、ピノ・グリ、シャルドネ、リースリングとともに、白ブドウの主要品種の一つとなっています。

また、東海岸のヴァージニア州ではシャルドネに次ぐ主要品種。生産量は多くありませんが、こちらもエレガントな味わいのヴィオニエのワインが造られています。

オーストラリアやアルゼンチンでも注目!日本では甲州とのブレンドも

アメリカと同様、1980年代に入るとオーストラリアでもヴィオニエの栽培が増えていきましたが、そのスタイルとバリエーションは興味深いものがあります。

オーストラリアの代表品種と言えば黒ブドウのシラーズですが、フランス・ローヌ北部のコート・ロティのようにヴィオニエを混醸させたワインも造られていますし、自由な発想でブレンドしたものや自然な造りにこだわったものも。多様性豊かな文化背景とともに、ヴィオニエの新たな可能性が育まれている印象です。

南米アルゼンチンでは、メンドーサ地区が有名産地で、最近ではウルグアイなどでも栽培されていますし、そのほかにニュージーランドや南アフリカでも注目されているようです。

日本では山梨などで栽培が始まっていて、甲州とアッサンブラージュして、香りや果実味を高めた新たなワインを造る生産者も登場しています。

ブドウは農作物。工業製品ではないので、育まれる土壌やその土地の気候などの影響をダイレクトに受け、毎回同じものが作られるわけではないので、当然ワインもその特徴を引き継ぎます。

様々な要素をすべて把握するのは一朝一夕にできることではありませんが、世界各国のヴィオニエを色々と飲み比べて、ぜひお気に入りの1本を見つけてみてください。

 

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wine@MAGAZINE編集部
すべてのワイン好きのために、東奔西走!ワイン初心者のお悩みを解決したり、ワイン通のためのお役立ち情報を取材したり…と、ワインの世界を日々探究中。plus wine, precious life!
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