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初心者必読!5種のチーズから探るおいしいワイン

2021.8.30

「ワインもチーズも好きだけれど、どちらも種類はよくわからない…」というあなたのために、今回は基本中の基本をレクチャー!

飲食店でも販売店でもよく見かける5種の基本のチーズ、そしてそんなチーズと一緒に味わってほしいワインを探っていきます。「え?チーズといえば赤ワインでしょ?」と思っている人がいたら、それは大間違い!おいしい組み合わせは、そう単純ではありません。でも、大丈夫。チーズの基本と相性の良いワインを知っておけば、一人飲みやデート、接待でも大いに役立つはずです。

食べやすい?食べにくい?実はいろいろある【カマンベール】

カマンベールチーズのオリジナルは、18世紀末にフランス北部ノルマンディー地方のカマンベール村で誕生。1855年にパリ-リジュー-カーン間の鉄道が開通するとパリで人気に火がつき、世界で最もよく知られるチーズの一つとなりました。 

現在「カマンベール」とよばれているものには、大きく分けると3つのタイプがあります。

1.  無殺菌乳製の「カマンベール・ド・ノルマンディー」

2. 殺菌乳製のややマイルドな風味のもの

3. 容器に入れてから特別な加熱処理で保存性を高めたロングライフ製法のもの

日本のスーパーでよく見かけるものは、3.のものがほとんどで、日本人向けにさっぱりとした味わいに開発されています。白・赤・ロゼ、どれでもよいのですが、酸味はやや穏やかで豊かなフルーツ感のあるフレッシュなワインがよく合います。

一方、1.や2.のタイプは、時間とともに熟成が進み、個性的で複雑な風味を伴っていくのが特徴。相性の良いワインも、その熟成度に合わせるのがポイントになります。しっかりと熟成した本家本元の「カマンベール・ド・ノルマンディー」には、樽由来のバニラ、バター、ナッツの香りがする熟成したシャルドネや、熟成で渋味がまろやかになったメルロなどがおすすめです。

ブラック・スミス / シャルドネ リザーヴ ロシアン・リヴァー・ヴァレー 2018
産地
アメリカ / カリフォルニア州 / ノース・コースト / ソノマ
品種
シャルドネ
タイプ
白ワイン - 辛口 - フルボディ
シャトー・ファルファ / コート・ド・ブール 2013
産地
フランス / ボルドー地方 / コート・ド・ブール
品種
メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、マルベック
タイプ
赤ワイン - 辛口 - ミディアムフル

粉チーズとは似て非!イタリアチーズの王様【パルミジャーノ・レッジャーノ】

“イタリアチーズの王様”と称されるのが、この「パルミジャーノ・レッジャーノ」。世界各地で造られている“パルメザンチーズ”は、実はこのパルミジャーノ・レッジャーノの製法や風味を真似て造られたものなのです。

粉チーズになって売られている“パルメザン”がスーパーやコンビニではおなじみですが、本物のパルミジャーノ・レッジャーノのおいしさは、ケタ違い!イタリアンの店はもちろん、ワインバーなどでもチーズの盛り合わせを頼むと、かち割り氷のようなゴロッとしたカットで出てくることがよくあります。

長期熟成のハードチーズなので、うま味がたっぷり。シャンパーニュはもちろん、熟成感のあるスパークリングか赤ワインが定番のペアリングです。比較的しっとりとした若めのパルミジャーノであれば、辛口のランブルスコ(微発泡の軽やかな赤ワイン)を合わせるのが現地スタイルです。

NV シャンパーニュ・プルミエクリュ・トゥール・エッフェル
産地
フランス・シャンパーニュ地方
品種
ピノ・ムニエ
タイプ
ミディアムフル辛口 スパークリング(白)
NV ランブルスコ・グラスパロッサ・ディ・カステルヴェートロ・セッコ
産地
イタリア・エミリア ロマーニャ州
品種
ランブルスコ・グラスパロッサ
タイプ
ライトボディ辛口 スパークリング(赤)

イギリス生まれの世界的スター【チェダー】

発祥はイングランド南西部。16世紀ごろ、農家の人たちが夏に造ったチーズをチェダー渓谷にある洞窟で保存していたところからこの名前になったと言われています。その後、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど、イギリスの移民先の土地でも造られるようになり、今や世界中で様々なバリエーションのチェダーチーズが造られています。

酸味があって、手で割ってみるとモロっと崩れやすいのがチェダーの特徴。工場製のチェダーチーズはクセのないシンプルな味わいなので、合わせるワインもオールマイティに楽しめます。

伝統的な製法で造られたチェダーは、熟成が進むとナッツのような風味とコクが出てくるチーズなので、樽由来のナッツやバターの香りが漂う白ワインをぜひ。また、デートや接待の場なら、最近人気急上昇中のイギリスのスパークリングワインを合わせて、チェダーのストーリーもサラッと紹介すれば、あなたの株がグッと上がるかもしれません!

カレラ / セントラル・コースト シャルドネ 2018
産地
アメリカ / カリフォルニア州 / セントラル・コースト
品種
シャルドネ100%
タイプ
白ワイン - 辛口 - ミディアムライト
NV フォーク&スプーン・スパークリング・ブリュット
産地
オーストラリア
品種
ピノ・ノワール、シャルドネ
タイプ
ミディアムライト辛口 スパークリング(白)

そのままでも料理でも大活躍の【ゴルゴンゾーラ】

日本では“世界三大ブルーチーズ”として、フランスの「ロックフォール」やイギリスの「スティルトン」とともに紹介されるのが、イタリア北部のゴルゴンゾーラ村で誕生したとされる「ゴルゴンゾーラ」です。

ゴルゴンゾーラには、青カビの量も塩味もしっかりとしたピッカンテ(辛口)と、クリーミーでマイルドなドルチェ(甘口)の2タイプがあります。“クアトロ・フォルマッジョ” のピッツァなど、料理の材料でよく使われるのがドルチェですが、チーズの盛り合わせでよく出てくるのはピッカンテでしょう。

しっかりとした塩味があるブルーチーズには、甘口のワインを合わせるのがテッパン!クアトロ・フォルマッジョのピッツァにハチミツをかけて食べるのと同じ原理です。イタリアンならヴィン・サントという定番の甘口ワインがありますが、各国の貴腐ワインなどのデザートワインももちろん最高のパートナーになってくれます。

アルティミーノ / ヴィン・サント・デル・キアンティ 375ml 2011
産地
イタリア / トスカーナ州
品種
トレッビアーノ50%、マルヴァジア・ビアンカ・ルンガ50%
タイプ
白ワイン - 甘口 - フルボディ
カルム・ド・リューセック 2018
産地
フランス / ボルドー地方 / ソーテルヌ
品種
セミヨン89%、ミュスカデル6%、ソーヴィニヨン・ブラン5%
タイプ
白ワイン - 甘口 - フルボディ

ワイン通の心をくすぐる季節限定の【モン・ドール】

毎年8月15日から翌年3月15日までの限定製造。実際に私たちが購入できるのは9月10日から翌年の5月10日までとされていることから、“季節限定”と称されてワイン通にも愛されているのが、この「モン・ドール」です。

フランスのジュラ山脈(アルプスエリア)にある山がその名の由来。タイプとしてはウォッシュチーズに分類されるものの、とてもマイルドな味わいで、熟成とともに中身はカスタードクリームのようにとろりと軟らかくなり、スプーンですくって食べるのが楽しいチーズです。

こだわり派の方は同郷で造られるジュラの白ワインを合わせますが、ミルキー&クリーミーな味わいなので、ガメイのようなフルーティーで軽やかな赤ワインも合います。11月第3木曜解禁のボージョレ・ヌーボーを楽しむときのお供のチーズとしてもぴったりですね。

シャトー・ティヴァン / コート・ド・ブルイィ レ・セット・ヴィーニュ 2019
産地
フランス / ボージョレー地方 / コート・ド・ブルイィ
品種
ガメイ100%
タイプ
赤ワイン - 辛口 - ミディアムライト

ワインのマトリックスも参考に

5種の基本のチーズの由来や特徴とともに、どんなワインを合わせたらよいかをお伝えしましたが、自分や一緒に食事をする相手の好みがハッキリしている場合は、もちろんそれも大事なポイントとなります。

酸味フルーティ感(果実味)、渋味や苦味などのポイントから、より具体的なワインを探せるように、白・赤・ロゼ・スパークリングとワインのタイプ別のマトリックスも、最後にご紹介しておきます。

■ワインマトリックスは こちら

時間をかけて生まれる熟成感や、独特のブドウやワイン醸造法から生まれる甘味も、ペアリングには重要なポイントでしたね。まずは基本の組み合わせを試してみて、慣れてきたら、ぜひあなた好みの“チーズ×ワイン”を探求してみてください。 

 

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佐野 嘉彦
ニューヨーク発祥のレストラン評価ガイド『ZAGAT』日本版の編集マネージャー、ワインスクールでの講師、料理通信社での勤務、チーズに特化したWebマガジンの編集長を経て、現在「sembrar(センブラール)」を屋号とし、食を中心とした情報発信を行っている。JSA認定ワインエキスパート、NPO法人チーズプロフェッショナル協会幹事、Guilde Club Japon認定コンパニョン・ド・サントュギュゾン、フランスチーズ鑑評騎士(シュヴァリエ)。
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