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著名作曲家がワインを音楽に! 格付け別にシャブリ聴き比べ

 
 
 
 
ワインを飲む人ならその名を忘れることがない超有名ワイン、シャブリ。
そう、フランスのブルゴーニュ北部で造られる辛口白のことですね。
昭和世代には「牡蠣にシャブリ」なんてキャッチフレーズがお馴染みで、魚介との相性のよさか
ら、お寿司屋さんの定番ワインとしても人気を博してきました。
今回は、そんなシャブリが音楽にも親和性が高いというお話です。
 
 
 

軽快な白だけじゃないシャブリ

 
一般的に「シャルドネ=ふくよか」、「シャブリ=さわやか」とのイメージが強いため、シャブリに使われるブドウはシャルドネと聞くと、「あれ?結局シャブリってどんな味だったっけ??」と混乱してしまう人もいるでしょう。
どのシャブリも基本的に上品な酸を持ちつつ、「ふくよかタイプもあれば、さわやかタイプもある」と考えるのが正解なんですよ。
というのもシャブリには「プティ・シャブリ」「シャブリ」「シャブリ・プルミエ・クリュ(1級)」「シャブリ・グラン・クリュ(特級)」と4つの格付けがなされ、軽快な味わいから凝縮感ある味わいまで揃っているからです。
格付けによる個々のキャラクターを理解するためには、飲み比べて舌で実感するのが王道ですが、今回新たな手法が誕生しました。
それはなんと、「格付けごとに作曲されたシャブリ・シンフォニーを聴き比べ」!

唎酒ならぬ聴き酒にトライ

某日、ブルゴーニュ委員会ブルゴーニュワイン委員会は、シャブリワインをイメージした楽曲「シャブリ・シンフォニー」を、プレスやワイン業界関係者に向け、銀座レカン料飲統括マネージャー・ソムリエによるセミナー試飲会と松波匠太郎さん作曲のシンフォニーコンサートを開催した。

シャブリの音楽表現に挑戦したのは、アジアを代表する作曲家の松波匠太郎さん(画像右)に新曲の創作を依頼。ソムリエの近藤佑哉氏(画像左)との4種のシャブリワインの試飲会を経て得た官能特性や、感性、ブルゴーニュワイン委員会との詳細にわたる対話を重ねて、世界初となる楽曲として完成。この組曲「シャブリ・シンフォニー」は、それぞれの独立した短い4曲で構成され、それぞれに各アペラシオンの名前が付けられ、四重奏で演奏されている。演奏は左から佐野隆哉氏(ピアノ)、吉田誠氏(クラリネット)、上村文乃氏(チェロ)、川久保賜紀氏 (ヴァイオリン)。「ワインは味覚をメインに、音楽は聴覚をメインにとらえるもの。両者とも自分の感覚を信じつつ理解を深める点では共通しています。だから、ワインの味わいが音楽で表現されることは、想像以上にしっくりくるのです。」と語るのは作曲者の松波さん。さあ、まずは早速聞いてみましょう。

 
 
 
 

味わいの移り変わりが音楽とシンクロ

音楽を文字で説明するという野暮をやってしまいますが

「プティ・シャブリ」は、フレッシュな柑橘系のニュアンスをヴァイオリンのピチカートで表現。
続く「シャブリ」は親しみやすいピアノの音色を中心とした、スタンダードなスタイルで安定した響き。「シャブリ・プルミエ・クリュ」になると今度は、よりとろみを増した味わいを彷彿とさせる、丸みを帯びた音質のクラリネットがメイン。そして最後の「シャブリ・グラン・クリュ」は、気品や威厳を持たせた力強いチェロの演奏が印象的。ソムリエの近藤さんも「たとえば『シャブリ』ですと、フルーツから花の香りへ移り、口中で心地よく立ち上がっていくという味わいの変化があります。その時間軸が音楽で鮮明に表現されていて、とてつもなく合っていました。音楽のなかに身を投じ、音のエネルギーを肌で感じつつワインを新たな角度で捉えるのは、とても面白いアプローチです」と絶賛。

これからは辛口白ワインのチョイスに迷ったとき、まずシンフォニーを聴き、ピンときた曲のシャブリを入手してみる……なんてのも粋ですね♪
 

シャブリを飲んでみたくなったら、こちらをチェック
wine@

 
 
 

産地ワシントンの魅力を探る ~中級編~

産地のワシントンについて初級編を未読の方はこちらもお読みください
 
また、恵比寿のwine@EBISUでは8月(終了日未定)まで3種類以上のワシントン州のワインが試飲できます。ぜひ、実際にワインを試飲して、その魅力を味わってください。
東京都渋谷区恵比寿南1-4-12 3F
試飲可能時間
平日 :16:00-21:00 ※金:-22:00
土  :12:00-22:00
日・祝:12:00-18:00
定休日/火曜日
 
 
 
 
初級編に続き、再度、先に申し上げておきますと……ワシントンワインとは、ワシントン大統領のワインでも、アメリカの首都ワシントンD.C.のワインでもありませーん!
もうご存じだと重々承知しつつ、ワシントンワインはアメリカ西海岸最北の地で造られるワシントン州のワインです。
お手頃なワシントンワインは、有名ワイン評論家や実力派ソムリエがこぞって高く評価してきました。
ワインをよく知る彼らのコメントから、注目すべきポイントを紐解いていきましょう。
 
 
 

コスパ最高!とワイン評論家のお墨付き

有名なワイン評論家のジェームス・サックリングさんが2022年に発表した「2021年版 35ドル以下のワインTOP100」に、3本も登場したのがワシントン産!
 
35ドル以下というお手頃ワインとなるとチリ産やオーストラリア産が強そうですが、全世界のワインを日々試飲してきたサックリングさんは、このTOP100の概説で
「ここにきてアメリカが躍進。とくに、ワシントン州のKヴィントナーズをはじめ文句のつけようがないものばかり」
と、わざわざワシントン州の一生産者の名を挙げつつ期待を寄せたのです。
なお、ワシントンでのワイン生産量は決して多くありません。
「アメリカではカリフォルニア州に次いで2位」だけれど、カリフォルニアの2億8700万ケース/年に対し、ワシントンは1450万ケース/年。
アメリカワイン全生産量のうち、カリフォルニアが87%、ワシントンはたった5%です。
レア産地にも関わらず、全世界で造られる35ドル以下のワインを対象としたTOP100に、サックリングさんがワシントン産を3本も選んだという事実。
それは、各国のワインラバーを「今まで気にしてなかったけど、もしかしてコスパ良すぎ?!」とワシントンへ振り向かせるには十分でした。
ワシントンワインは今、ブレイク寸前と言えましょう。
 
 
 

産地ワシントンの魅力を掘り下げたセミナーも開催

ソムリエ/ワインスクール講師として活躍する太田賢一さんもまた、ワシントンワインの秘めたる魅力を誰よりも早く掘り下げてみせたひとりです。
「世界の河川の合計流量をかきかつめた水量の10倍は、総重量2兆トンに。それが一気に流れ出したという地球上で最大級の洪水が、1億5千年前にワシントンで起こりました。さらに、大地に切り目を入れる大地震、海へ向かって流れ出た火山の溶岩、風がもたらす細かな黄土が複雑に積み重なり、区画によって土壌の質はバラバラ。『ワシントンの土壌はズバリ、〇〇です!』なんてシンプルには語れないのです」
と、太田さん。
ブドウは品種によって適した環境が違います。
だから、ワシントンのワインメーカーは自分の希望するブドウに合わせて土地を選び放題。
おかげで「新天地で自分が理想とするワインを造りたい!」と願う人たちが続々と集まり、多種多様なワインが産み出されるようになったというわけです。
シャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンは当然として、メルロ、シラー、ピノ・ノワール、リースリング、サンジョヴェーゼ、ヴィオニエ……主要な品種は大概ワシントンで栽培されていることを覚えておきましょう。
もうひとつ知っておきたいワシントンならではの特徴は、フィロキセラによる害が発生しないこと。
「ヨーロッパでブドウ樹を枯らす害虫フィロキセラが蔓延し、フィロキセラへの耐性を持つ台木を導入せざるを得ませんでした。しかしワシントンは冬があまりに寒くてフィロキセラは越冬できず、ブドウ樹は自根のまま生育できます」(太田さん)
激しい気候ゆえに虫や菌は息絶え、結果として農薬や殺虫剤の使用量を極限まで抑えられるのです。
 
 

人が面白いからワインも面白い

加えて、ワインメーカーの顔ぶれがこれまたバラバラなのです。
そういえば、サックリングさんが言及したKヴィントナーズも、オーナーのチャールズ・スミスさんがなかなか濃ゆい。
ワインのラベルも、本人のルックスも、インパクトありますよね。
それは当然とばかりに太田さん曰く
「だって彼はもともと、ロックバンドのマネージャーですから」。
カリフォルニアのナパ生まれにしてはワインにまったく興味がなかったスミスさん、ヨーロッパでロックバンドのマネージャーとして各地を旅していたのですが、ワシントン州を来訪したらなぜかワイン造りに目覚めてしまったのだとか。
いろいろな意味でロックなワイン・スタイルを追求する傍ら、マネージャー仕込みの人懐っこさと面倒見の良さで、ほかのワイナリーの人たちともすぐ仲良しに。
自分のテイスティングルームで他社と合同ワイン会を行うなんて、「1人のアーティストが仲間に声をかけてロックフェス実現しちゃう」ノリです、まさに♪
 
 
一方、超クラシックなワイナリーもワシントンにはあるのでご安心を。
たとえばシャトー・サン・ミッシェルは、20世紀初頭からのルーツを持つ老舗。
多くのワイナリーがシャルドネとカベルネに舵を切っていった1970年代、透明感と凝縮感のあるリースリングで話題をさらい、白ワインの雄として名声を確立しました。
イタリアのアンティノリ、ドイツのドクター・ローゼンとコラボしたこともあると聞けば、シャトーの格式の高さが伺えます。
 
 

ワシントンはBYOの盛んな地

 

お手頃価格のワシントンワインなら、「今日はこのワインをあの料理と合わせてみよう」と気負わずペアリングにトライできるのもウレシイですね。
自分で料理を作らずとも、ワインをBYOしてレストランの料理と合わせるのは、ワシントンの大都市シアトルでもよくある光景。
ワインショップによっては店内にボトル冷却マシンが設置されていて(画像左は洗濯機ではないよ)、室温のワインも好みの温度まで急速に冷やせるんです。

ディナー前にワインショップでゆっくりワインを選び、冷却マシンですぐさま適温まで冷やしてレストランへ。
シアトルに長期滞在できたら、こんなワシントンワイン三昧な生活を体験してみたいですね!
 
 

産地ワシントンの魅力を探る ~初級編~

「あれ、ワシントンってアメリカの首都のこと?」
と思われた方、アメリカの首都“ワシントンD.C.”は、アメリカ東海岸寄り。
観光地でも人気の高いシアトルがあるのは、アメリカ西海岸の“ワシントン州(ちなみにワシントン州の州都がシアトルと思っている方も多いかもしれませんが「オリンピア」です)”なのでもろもろ、お間違いなく♪
今回は米国ではカリフォルニアに次ぐ、第二位の生産量を誇る産地「ワシントン州」の魅力を二回連載でお伝えしますね。
 
また、恵比寿のwine@EBISUでは6月~8月(終了日未定)まで3種類以上のワシントン州のワインが試飲できます。ぜひ、実際にワインを試飲して、その魅力を味わってください。
東京都渋谷区恵比寿南1-4-12 3F
試飲可能時間
平日 :16:00-21:00 ※金:-22:00
土  :12:00-22:00
日・祝:12:00-18:00
定休日/火曜日
 
 
 
 
 

新鮮な食材が簡単に入手できるシアトル

アメリカ西海岸の3大都市といえば、ロサンジェルス、サンフランシスコ、そしてシアトル(しつこいけれど、州都はオリンピア、ちなみにカリフォルニア州の州都はサクラメント)。
なかでもワシントン州はマイクロソフト社、スターバックス社をはじめ多くの大企業が本社を構え、洗練された街並みが印象的です。
もしもシアトルに旅するなら、スタジアムでシアトル・マリナーズの応援をして、スターバックス発祥の地にあやかり一号店でコーヒーを飲んで……あとは上質なレストランをハシゴしてみたい!
伝統的なアメリカ料理から日本料理、創作料理まで、シアトルにはユニークなレストランが目白押しなのです。
なにしろ近隣で採れた野菜や海の幸が豊富に揃う土地柄なので、どの店も舌の肥えたシアトルの住民たちを満足させられるクオリティです。
そして料理に合わせるのはもちろん、地元で造られたワシントンワインが定番ですよ。

 

ワイン産地としては最高な環境

ワシントン州のお隣は、もうカナダ。
「アメリカでも、かなり北のほうだな」とお分かりの通り、カナダの首都・バンクーバーにもシアトルから日帰り旅行できてしまう距離です。
ワシントン州は、フランスとほぼ同じ北緯46度に近い位置にありますが、気候はフランスのどの銘醸地とも大きく違います。
北ならきっと涼しいはずとの予想に反し、夏になるとフランスのボルドーより、さらにはカリフォルニアのナパよりも暑くなるんですよ。
というのも、太平洋沿いのシアトルはとても過ごしやすいエリアである反面、ワシントン州のワイン産地は太平洋からカスケード山脈を越えた内陸部に広がっています。
海からの湿気を含む風は高い山々に遮られ、「夏は暑く、冬は寒い」「昼は暑くても、夜になるとぐんと気温が下がる」という、人にはちょっとツライ気象条件に。
でも、この過酷な環境こそ、おいしいワインを造りたい人にとっては喜ばしい条件。
糖度と酸度どちらも豊かなブドウが収穫できる結果、凝縮感のある味わいのワシントンワインが生まれるのですから。
冬の厳寒期に発生する霜の害を防ぐため、ブドウ畑のあちこちで風車が稼働しているのもワシントンらしい風景。
 

 

ワシントンワインは高いの?安いの?

アメリカのワイン産地といえばカリフォルニア州が有名ですが、ワシントン州も負けてはいません。生産量はカリフォルニア州に次ぐ第2位をキープ、ブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニヨンやリースリング、シャルドネをはじめとするメジャーなものがほぼ揃います。
そして気になるのは、やはりお値段。
平均的な価格はわりと控えめなのが、ワシントンワインの大きな魅力でもあるんです。
たとえば、ワインの味わいを評価する「ワインスペクテイター」で100点満点中90点以上を獲得した各国ワインの値段を10年分遡って集計したところ、フランスの平均価格は97ドル、イタリアの場合は70ドル、対してワシントン産はたった48ドルだったとか。
つまり「ワシントンワインなら、最高級に認定されたワインも他国の半額で飲めてしまうかもしれない」ってことになりますね。

ワイン産業が盛んなワシントン州のこと、ワイナリー巡りもまた魅力的。テイスティングルームやショップコーナーで、訪問客は思い思いの時間を過ごします。
同じワシントン州で造られるコスパのいいワインを手に入れ、いつも多国籍な料理とともに楽しんでいるシアトルっ子たち。
日本の私たちも、ちょっとおいしいサーモンの刺身を手に入れたとき、新鮮な野菜をたっぷり使って豪華なサラダを作ったとき、ワシントンワインを用意してみましょう。
グルメでコスパ重視なシアトルっ子にあやかり、きっとスマートな食卓を楽しめるはずです!
次回は中級編として、さらにワインの魅力をお伝えします。