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ワインの産地を知る

産地ワシントンの魅力を探る ~中級編~

2022.7.26

産地のワシントンについて初級編を未読の方はこちらもお読みください
 
また、恵比寿のwine@EBISUでは8月(終了日未定)まで3種類以上のワシントン州のワインが試飲できます。ぜひ、実際にワインを試飲して、その魅力を味わってください。
東京都渋谷区恵比寿南1-4-12 3F
試飲可能時間
平日 :16:00-21:00 ※金:-22:00
土  :12:00-22:00
日・祝:12:00-18:00
定休日/火曜日
 
 
 
 
初級編に続き、再度、先に申し上げておきますと……ワシントンワインとは、ワシントン大統領のワインでも、アメリカの首都ワシントンD.C.のワインでもありませーん!
もうご存じだと重々承知しつつ、ワシントンワインはアメリカ西海岸最北の地で造られるワシントン州のワインです。
お手頃なワシントンワインは、有名ワイン評論家や実力派ソムリエがこぞって高く評価してきました。
ワインをよく知る彼らのコメントから、注目すべきポイントを紐解いていきましょう。
 
 

コスパ最高!とワイン評論家のお墨付き

有名なワイン評論家のジェームス・サックリングさんが2022年に発表した「2021年版 35ドル以下のワインTOP100」に、3本も登場したのがワシントン産!
 
35ドル以下というお手頃ワインとなるとチリ産やオーストラリア産が強そうですが、全世界のワインを日々試飲してきたサックリングさんは、このTOP100の概説で
「ここにきてアメリカが躍進。とくに、ワシントン州のKヴィントナーズをはじめ文句のつけようがないものばかり」
と、わざわざワシントン州の一生産者の名を挙げつつ期待を寄せたのです。
なお、ワシントンでのワイン生産量は決して多くありません。
「アメリカではカリフォルニア州に次いで2位」だけれど、カリフォルニアの2億8700万ケース/年に対し、ワシントンは1450万ケース/年。
アメリカワイン全生産量のうち、カリフォルニアが87%、ワシントンはたった5%です。
レア産地にも関わらず、全世界で造られる35ドル以下のワインを対象としたTOP100に、サックリングさんがワシントン産を3本も選んだという事実。
それは、各国のワインラバーを「今まで気にしてなかったけど、もしかしてコスパ良すぎ?!」とワシントンへ振り向かせるには十分でした。
ワシントンワインは今、ブレイク寸前と言えましょう。
 
 
 

産地ワシントンの魅力を掘り下げたセミナーも開催

ソムリエ/ワインスクール講師として活躍する太田賢一さんもまた、ワシントンワインの秘めたる魅力を誰よりも早く掘り下げてみせたひとりです。
「世界の河川の合計流量をかきかつめた水量の10倍は、総重量2兆トンに。それが一気に流れ出したという地球上で最大級の洪水が、1億5千年前にワシントンで起こりました。さらに、大地に切り目を入れる大地震、海へ向かって流れ出た火山の溶岩、風がもたらす細かな黄土が複雑に積み重なり、区画によって土壌の質はバラバラ。『ワシントンの土壌はズバリ、〇〇です!』なんてシンプルには語れないのです」
と、太田さん。
ブドウは品種によって適した環境が違います。
だから、ワシントンのワインメーカーは自分の希望するブドウに合わせて土地を選び放題。
おかげで「新天地で自分が理想とするワインを造りたい!」と願う人たちが続々と集まり、多種多様なワインが産み出されるようになったというわけです。
シャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンは当然として、メルロ、シラー、ピノ・ノワール、リースリング、サンジョヴェーゼ、ヴィオニエ……主要な品種は大概ワシントンで栽培されていることを覚えておきましょう。
もうひとつ知っておきたいワシントンならではの特徴は、フィロキセラによる害が発生しないこと。
「ヨーロッパでブドウ樹を枯らす害虫フィロキセラが蔓延し、フィロキセラへの耐性を持つ台木を導入せざるを得ませんでした。しかしワシントンは冬があまりに寒くてフィロキセラは越冬できず、ブドウ樹は自根のまま生育できます」(太田さん)
激しい気候ゆえに虫や菌は息絶え、結果として農薬や殺虫剤の使用量を極限まで抑えられるのです。
 
 

人が面白いからワインも面白い

加えて、ワインメーカーの顔ぶれがこれまたバラバラなのです。
そういえば、サックリングさんが言及したKヴィントナーズも、オーナーのチャールズ・スミスさんがなかなか濃ゆい。
ワインのラベルも、本人のルックスも、インパクトありますよね。
それは当然とばかりに太田さん曰く
「だって彼はもともと、ロックバンドのマネージャーですから」。
カリフォルニアのナパ生まれにしてはワインにまったく興味がなかったスミスさん、ヨーロッパでロックバンドのマネージャーとして各地を旅していたのですが、ワシントン州を来訪したらなぜかワイン造りに目覚めてしまったのだとか。
いろいろな意味でロックなワイン・スタイルを追求する傍ら、マネージャー仕込みの人懐っこさと面倒見の良さで、ほかのワイナリーの人たちともすぐ仲良しに。
自分のテイスティングルームで他社と合同ワイン会を行うなんて、「1人のアーティストが仲間に声をかけてロックフェス実現しちゃう」ノリです、まさに♪
 
 
一方、超クラシックなワイナリーもワシントンにはあるのでご安心を。
たとえばシャトー・サン・ミッシェルは、20世紀初頭からのルーツを持つ老舗。
多くのワイナリーがシャルドネとカベルネに舵を切っていった1970年代、透明感と凝縮感のあるリースリングで話題をさらい、白ワインの雄として名声を確立しました。
イタリアのアンティノリ、ドイツのドクター・ローゼンとコラボしたこともあると聞けば、シャトーの格式の高さが伺えます。
 
 

ワシントンはBYOの盛んな地

 

お手頃価格のワシントンワインなら、「今日はこのワインをあの料理と合わせてみよう」と気負わずペアリングにトライできるのもウレシイですね。
自分で料理を作らずとも、ワインをBYOしてレストランの料理と合わせるのは、ワシントンの大都市シアトルでもよくある光景。
ワインショップによっては店内にボトル冷却マシンが設置されていて(画像左は洗濯機ではないよ)、室温のワインも好みの温度まで急速に冷やせるんです。

ディナー前にワインショップでゆっくりワインを選び、冷却マシンですぐさま適温まで冷やしてレストランへ。
シアトルに長期滞在できたら、こんなワシントンワイン三昧な生活を体験してみたいですね!
 
 
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wine@MAGAZINE編集部
すべてのワイン好きのために、東奔西走!ワイン初心者のお悩みを解決したり、ワイン通のためのお役立ち情報を取材したり…と、ワインの世界を日々探究中。plus wine, precious life!
2022年7月26日
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