ワイン通がよく使うキーワード。なかには「ワインは好きだし、興味はあるんだけど…」という初心者のみなさんのハードルを少し上げてしまう言葉もあります。
そこで、なんとなく分かっているけれど自分で説明しようと思うとイマイチ…そんなキーワードを改めて解説したいと思います。
今回のキーワードはコスパ。コスパの良いワインとは?さて、あなたはちゃんと説明できますか?
この記事の目次
「コスパ」は和製英語!?
日常会話でもすっかり定着したコスパという言葉。省略せずに言えばコストパフォーマンスであるということは、ほとんどの方がご存じかと思います。
コスト(cost)+パフォーマンス(performance)
つまり、その価格に見合う性能や効果、価値があるということ。日本語では費用対効果と訳されることもあります。
英語にも確かにcost performanceという表現は実在しますが、あまり日常的には使われていないようです。「コスパが良い(good cost performance)」という意味の表現としては
reasonable
good value for money
という表現の方がより自然に伝わるようです。
単純に「安いこと」とは限らない。
「コスパが良い(good cost performance)」という意味の表現として、reasonable(リーズナブル)という言葉を紹介しました。リーズナブルも日本語では「安いこと」を意味する言葉として使われていますが、これも本来は違います。
もう一つの表現、good value for moneyと同様の意味があり、価格(金額)に対して正当な価値が見出せるというのが、リーズナブルの本当の意味。コスパ(コストパフォーマンス)と同じく、間違った認識が一般的になっている例です。
ワイン通の人にはフランス好きの方も多いですが、フランス語にはカリテ・プリ(qualité prix)という表現があります。
qualité=クオリティ+ prix=プライス
プライス(価格)に見合うクオリティ(品質)があるということ。「コスパが良い=安い」と勘違いされることを避けて、このカリテ・プリという表現を使うワイン通もいます。
“コスパの良いワイン”は、必ずしも安いワインとは限らない。では、どんなポイントでコストパフォーマンスを見出したらよいのかを、次に整理していきましょう。
3つの経験則とは?コスパを見出すポイントを整理!
価格に見合う性能や効果、価値があるかどうかが、コスパのポイントなので、実はそのワインを飲む人によって、コスパの良いワインというのは変わってきます。
■その1:味覚の経験則
ソムリエやワインエキスパートの資格をお持ちの方は、少なからず経験があると思いますが、テイスティングの訓練を重ねると感じられる要素がどんどんと増えていきます。好みが変わったりするのは、積み重ねられた経験によるものが大きいものです。もちろん、先天的な味覚の鋭敏さも影響しますが、いずれにせよ個人差があり、それによっておいしさを感じる内容や程度にも差が出ることは、至極当然のことと言えるでしょう。
■その2:ストーリーの経験則
過去にそのワインを飲んだ時のシチュエーションや思い出、またそのワインが造られた背景や造り手の人生…そうした“ストーリー”も価値を持ち、おいしいと感じるかどうかに大きく影響します。これも納得いただけるのではないでしょうか。
■その3:価格の経験則
ワインを買うまたは注文する経験が積まれると「どんなワインがどれくらいの価格なのか」ということが記憶に蓄積されていくものです。それによって「あのワインがこの値段!?」といった視点から、いわゆる“お得感”を判断し、コスパを感じるということもあるでしょう。
1,000円でも1万円でも、その人にとって「コスパ最高!」というワインがある。
味覚、ストーリー、価格の3つの経験則によって決まるコスパの良いワイン。安さという視点だけに捉われていては、たどりつけません。
ワインショップなどで価格の経験則を積むのも楽しいものですし、このWebメディアの記事を読んだり、ワイナリー訪問をしたりすることでストーリーの経験則を深めるもよし。また、ご自身の今の味覚の経験則をもとに、味わいのマトリックスからワインを探すのも効果的です。
味わいのマトリックスから自分の“コスパワイン”を探す!
白・赤・ロゼ・スパークリングとワインのタイプ別のマトリックスがあり、酸味、フルーティ感(果実味)、渋みや苦味などのポイントから、より具体的なワインを探せるようになっています。
■ワインのマトリックスは こちら
ぜひ、あなたにとっての“コスパワイン”をたくさん見つけていきましょう!