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自然派の微発泡【ペットナット】他のスパークリングワインとどう違う?

2021.8.23

衰え知らずの人気を誇る、スパークリングワイン。そのシュワっとした口当たりはワイン愛好家でなくても、世界の人々を魅了しています。

一方、“食の安心と安全”や健康志向、さらにエコでサステナブルなものを求める傾向も相まって、“自然派”と呼ばれるワインも人気です。

■自然派ワインについては【自然派ワイン】って何?今さら聞けないナチュラルワインの基本とおすすめ店5選 を参照ください。

“スパークリング”と“自然派”。その2つの要素を兼ね備えたワインとして、世界中で人気が高まっているのが、今回のテーマとなるペットナット(Pét-Nat)です。

「初めて聞いた」また「聞いたことあるけどよく分からない」という人は必読!今さら聞けない超基本の話から味わいや製法の特徴、さらに、混乱しがちなスパークリングワインの分類も徹底解説します。

気になる名称「ペットナット(Pét-Nat)」って何? 

まずは「ペットナット」というちょっとユニークな呼び名の話から。フルネームは「ペティヤン・ナチュレル(Pétillant Naturel)」といい、「ペットナット(Pét-Nat)」は略称というわけです。

ペティヤン=弱発泡のワイン
ナチュレル=自然の

という意味があり、その製法や分類については後半で詳しく解説しますが、1990年代にフランス・ロワールの自然派ワインの生産者が、南仏のリムー地域で16世紀に考案された田舎方式の製法(メトード・リュラル Méthode rurale)で造った微発泡のワインを「ペットナット」と呼んだのがはじまり、というのが有力な説です。

ロワールのみならず、ジュラやブルゴーニュなどのフランスの他の地域でも、ペットナットは人気。今ではヨーロッパ各国やアメリカ、オーストラリア、さらに日本でも造られるようになっています。

ペットナット(Pét-Nat)の特徴と魅力

まずはワインボトルに注目。すべてのペットナットがそうではありませんが、王冠で栓をしているものが多いのが特徴です。しっかりと栓がされていることが製法上でとても大事なのですが、カジュアルな雰囲気の演出にも一役買っていると言えるでしょう。

品種は多様で、ロワールの特産であるシュナン・ブランやソーヴィニヨン・ブランはもちろん、シャルドネ、ガメイ、カベルネ・ソーヴィニヨンなどがあり、白だけでなく、果皮などと一緒に醸したオレンジ(アンバー)もあれば、赤やロゼもあります。

アルコール度は10%前後と低めで軽やか。味わいとしては、ほんのり甘いのものからキリッとドライなものまでありますが、フレッシュな果実味とじんわり広がるうま味が特徴と言えるでしょう。

できるだけ自然のままに仕上げるということで澱引きをしないため、うすにごりの状態のものが多いのもポイント。自然派ワインの愛好家はよく「にごり(澱)=うま味」と言ったりしますが、これにはちょっとご注意を。

澱は活動を終えた酵母の死骸であり、たしかにアミノ酸を多く含んでいますが、必ずしも多ければ多いほどおいしいということではありません。

また、残念ながら硫黄のような還元臭が強いものに当たることも。家飲みで当たってしまった場合は、シュワシュワ感をあきらめて、スワリングで還元臭を飛ばしてみるというのも一つの方法です。

■スワリングについては、グラスをくるくる・・・ワインの【スワリング】の意味とNG、すべて教えます! で詳しく説明しています。

「田舎方式の製法」ってどういう造り方?

ペットナットの特徴が分かったところで、それを生み出す製法の話に移りましょう。先ほどもちらっと出てきた「田舎方式の製法」の解説です。

田舎方式の製法は、瓶内二次発酵を行うシャンパンやカバなどの製法(メトード・トラディッショネル)や大きなタンク内で二次発酵させるシャルマ方式とは異なり、

メトード・リュラル(Méthode rurale/田舎方式)
メトード・アンセストラル(Méthode ancestrale/古代方式)
メトード・ディオワーズ(Méthode dioise/ディーという生産地の方式)

などと呼ばれます。

■シャンパンやカバなどの製法(メトード・トラディッショネル)については、何が違うの!?~シャンパン、クレマン、カバ、フランチャコルタ を参照してください。

この田舎方式の製法は、アルコール発酵の途中で残糖がある状態で瓶詰めをしてしまいます。瓶内ではそのままアルコール発酵が続くので、炭酸ガスも発生。王冠などで密閉することによって、炭酸ガスはそのまま閉じ込められるという仕組みです。

シャンパンやカバのように、二次発酵中の動瓶、澱引き、ドサージュ…といった手間は掛からなくなりますが、シンプルであるがゆえに、安定したものを造るのはかえって難しい!

瓶詰め後にも良いバランスで発酵させないと、瓶が破裂したり、逆にガス圧が弱すぎたり…季節で温度が変われば、再発酵が起こることも。また、瓶内で発酵した後の糖分がどれだけ残るかによって、味わいの甘辛度も変わってくるというわけです。

この製法に加えて、“自然な造りであること”も重要なポイントとなるのが「ペットナット」。その製法の特徴は、主に3つあると言えるでしょう。

(1)培養酵母ではなく野生酵母で発酵させること
(2)ドサージュなどの糖類の添加はなし
(3)途中までタンクでアルコール発酵させたら、ろ過・清澄はほぼせずに瓶詰めして継続発酵させること

スパークリングワインと一口に言っても、いろいろなものが存在。ちょっと混乱してくる方もいると思うので、次に分類&整理しておきましょう。

世界のスパークリングワイン、分類&整理しておこう!

EUの基準では3気圧以上のものを「スパークリングワイン」と定めていますが、ここでは「スパークリングワイン=発泡性のあるワイン」ということで進めていきたいと思います。

泡の強さ(ガス圧)や製法、また国によってスパークリングワインは呼び名がたくさん!そこで、主なものを一覧に整理したので、見てみましょう。

すべて覚える必要はありませんが、有名なスパークリングワインは知っておいていて損なし!ぜひ以下の記事も併せてチェックしてみてください。

何が違うの!?~シャンパン、クレマン、カバ、フランチャコルタ

「カバ」?「カヴァ」?コスパ最高&家飲みの味方、スペインのスパークリング「cava」を極める

ペットナットは、楽しみ方も自由に!

シュワッとした自然派ワイン。ペットナットは、気取らず気張らず、日常のものとして自由に楽しみたいスパークリングワインと言えるでしょう。

まずは、しっかり冷蔵庫で冷やして、軽やかな泡を舌と喉で楽しむ。だんだんと温度が上がってきたら、フルーツや酵母由来の香りをしっかりと鼻で感じる。泡が立ち消えたら、じっくりと口内でうま味を味わう…少しずつ表情を変えるペットナットを、ぜひ堪能してみてください。

家飲み用にワインショップで購入するもよし!ですが、自然派を謳うワインバルやオーガニックな食材にこだわった飲食店では、ペットナットを常備していることが増えてきました。

そこで、最後にペットナットをグラスでも提供してくれるおすすめ店をご紹介。世界中のチーズを使ったオリジナル料理も注目の一軒です。

緊急事態宣言・まん延防止等重点措置等が発出中は、酒類の提供中止の他、営業時間やメニュー等の変更もありますので、最新情報は各店舗にてご確認ください。

ペットナット&チーズ料理【バール ア フロマージュ スーヴォワル】

グラスでも10種~14種が楽しめるワインは、自然派が目白押し。しかも、ペットナットが基本的にはラインナップにも加わっています。

店名にある「スーヴォワル」は、産膜酵母の「膜の下」という意味。ワイン通なら、シェリー酒やヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)といったワインの製法とともに知っているキーワードですが、もうこの店名からしてマニアック。

チーズ料理のバラエティも都内随一。チーズプロフェッショナルとソムリエのW資格をもったスタッフが複数いるので、分からないことはなんでも聞いてみましょう!連日満席の人気店なので、事前予約がおすすめです。

バール ア フロマージュ スーヴォワル
  • 住所:〒158-0094 東京都世田谷区玉川4-5-6 1F
  • TEL:03-6805-6399

緊急事態宣言・まん延防止等重点措置等が発出中は、酒類の提供中止の他、営業時間やメニュー等の変更もありますので、最新情報は各店舗にてご確認ください。

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wine@MAGAZINE編集部
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