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【ピノ・グリ/ピノ・グリージョ】テロワールでどう違う?主要産地別の品種ワインの特徴

2021.12.13

同じブドウ品種から造られたワインであっても、産地、造り手、ヴィンテージ(収穫年)、熟成、保存管理などによって、ワインの風味は大きく異なります。

でも、品種とそのブドウが造られた産地の特徴を知っておくと、どんな香りや味わいのワインなのかを判断する大まかな目安となり、自分好みのワインを選ぶ時にとても役に立ちます。

シリーズで展開している【テロワールでどう違う?主要産地別の品種ワインの特徴】。今回のテーマ品種は、ピノ・グリ(ピノ・グリージョ)です。世界中のワイン愛好家の心を捉えて離さないこの品種自体が持つ主な特徴からまずは確認していきましょう。

ピノ・グリ/ピノ・グリージョの主な特徴

ピノ・グリ(ピノ・グリージョ)は白ブドウ品種に分類されますが、その名にあるグリ(グリージョ)は灰色という意味。果皮が薄紫や赤茶っぽい色を帯びていて、この色をフランス語やイタリア語では「灰色」という言葉を使って表しています。

世界の総栽培面積は約15,000ha。近年、各地で栽培が増えているブドウ品種の一つですが、まずはそのルーツや歴史から見ていきましょう。

ピノ・グリのルーツと歴史

フランス・ブルゴーニュ地方が原産地というのが通説で、ブルゴーニュでは「ピノ・ブーロ」という別名も。黒ブドウのピノ・ノワールのクローン突然変異体で生まれたブドウだとされています。変異して果皮が色づかない品種に「ピノ・ブラン」というものもあり、いずれも葉や樹がよく似ていて、房も小さめです。

ピノ・グリは温暖な気候よりは冷涼な気候が適合する品種で、一般的には水はけの良い、石灰質などのミネラル分が豊かな土壌で栽培すると品質が高くなると言われています。

世界各地では辛口の白ワインが多く造られますが、中には甘口のワインもあります。

ピノ・グリ 品種由来の風味

産地によって異なる風味の特徴については、後ほど詳しくご紹介しますが、品種由来の主な特徴としては以下のようなものが挙げられます。

香り 洋梨、メロン、黄桃、ジンジャー、レモンピール、グリーンアーモンド
味わい 酸味はまろやかで、しっかりした果実味とコクがあり、後味にほのかな苦味

テロワールの特徴のみならず、収穫のタイミングや醸造方法によっても風味にバリエーションが生まれる品種でもあります。

それではピノ・グリ(ピノ・グリージョ)の主要産地別に主な特徴を見ていきましょう。

フランス:アルザス地方

原産地と言われるブルゴーニュ地方では、現在はほとんど栽培されておらず、フランスではさらに北に位置するアルザス地方が名産地。リースリング、ミュスカ、ゲヴェルツトラミネールを含めたアルザス四大高貴品種の一つとされています。

洋梨やハチミツのような芳醇な香りを持ち、果実味と酸味のバランスが取れたコク豊かな辛口の白ワインが多く造られています。

濃醇な味わいで、アニスやシナモンのようなスパイスの風味を伴うものもあり、リースリングやゲヴェルツトラミネールと同様に、遅摘みや貴腐のブドウから甘口のワインも造られています。

2012 アルザス・グラン・クリュ・ピノ・グリ・ヘングスト/アルベール・マン
産地
フランス・アルザス地方
品種
ピノ・グリ
タイプ
フルボディ中甘口 白

ちなみにピノ・グリは以前、シャンパーニュ地方でも「フロマントー」という呼び名で栽培されていましたが、現在はほとんど見かけないようです。

また「フロマントー」はラングドック地方でもそう呼ばれることがあるようで、他に、ロワール渓谷やアルプスエリアでは「マルヴォワジー」という呼び名もあります。

イタリア北東部

イタリア語では「ピノ・グリ―ジョ」と呼ばれ、主にフリウリ=ヴェネツィア・ジューリア、トレンティーノ=アルト・アディジェ、ヴェネトといった冷涼な北東部のエリアで造られています。

フランス・アルザスのものと異なり、あえてブドウを早摘みし、ステンレスタンクで熟成させることで、比較的軽めに仕上げた辛口タイプが多いのが特徴。さわやかな酸味が持ち味で、北東部とアルプスで繋がるドイツやスイス、オーストリアなどでも同様のワインが多く造られています。

また、中には洋梨やアプリコット、パイナップルなどの香りに、ややスモーキーなニュアンスが加わり、味わいに厚みや複雑性を持たせたものもあります。

2017 ピノ・グリージョ/アロイス・ラゲデール
産地
イタリア・トレンティーノ アルト アディジェ州
品種
ピノ・グリ-ジョ
タイプ
ミディアムライト辛口 白

オーストラリア

南オーストラリア州やニューサウスウェールズ州の南部ヴィクトリア州のヤラ・ヴァレーやタスマニア島といった冷涼なエリアで、多く造られています。

スタイルとしては、フランス・アルザスに倣ったコク豊かなものが多く、“オイリー”とも言えるような口当たりがあり、酸味は中程度。アルコール度数は高めとなる傾向があります。

ただ、イタリア系移民も多い国ということもあり、イタリア北東部のピノ・グリージョのような軽やかなワインもあり、多様性に富んでいます。

2017 フラックス・7/ヘアウッド・エステート
産地
オーストラリア
品種
ピノ・グリ/ピノ・グリ-ジョ
タイプ
ミディアムライト辛口 白
2017 オヴム/BKワインズ
産地
オーストラリア
品種
ピノ・グリ/ピノ・グリ-ジョ
タイプ
ミディアムフル辛口 白

ドイツ、ニュージーランド、アメリカ、日本・・・世界各国で注目!

西はフランス・アルザス地方、南はイタリア北東部と接したドイツも、伝統的な産地。ここでは「グラウブルグンダー」や「ルーレンダー」と呼ばれ、古くから白ワイン用のブドウの一つとして親しまれてきました。

一方、チャレンジングなワインを造るニューワールド。オーストラリアのお隣、ニュージーランドでも果皮からくる色や風味を生かしたピノ・グリのワインは注目されていて、オレンジワインも造られています。

アメリカは、オレゴン州やワシントン州、カリフォルニア州といった西海岸のワイン銘醸地がやはり主戦場。特にオレゴン州は、主要品種の一つとなっていて、キリッとしたミネラル感たっぷりのタイプもあれば、洋梨やトロピカルフルーツの風味が豊かなコクうま系のものまで多彩です。

日本でもまだ数は少ないのですが、ピノ・グリに挑戦する生産者がいます。フランス・アルザスともイタリア北東部とも異なる、日本らしい繊細さと複雑性が楽しめるワインが生まれていて、今後さらに期待されています。

ブドウは農作物。工業製品ではないので、育まれる土壌やその土地の気候などの影響をダイレクトに受け、毎回同じものが作られるわけではないので、当然ワインもその特徴を引き継ぎます。

様々な要素をすべて把握するのは一朝一夕にできることではありませんが、世界各国のピノ・グリを色々と飲み比べて、ぜひお気に入りの1本を見つけてみてください。

 

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wine@MAGAZINE編集部
すべてのワイン好きのために、東奔西走!ワイン初心者のお悩みを解決したり、ワイン通のためのお役立ち情報を取材したり…と、ワインの世界を日々探究中。plus wine, precious life!
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