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伝統があるから革新できる!ボルドーワインの新世代

2021.8.19

伝統的なワイン産地の代表格、フランス・ボルドー。長い歴史に育まれたこのワイン産地では今、世界を見据えた若い世代が活躍しています。

自分が生まれた場所で育まれるものに価値を見出し、そこに新たな技術や考え方をプラスしながら、より豊かな食文化を生み出して未来につなぐ・・・。大量生産による標準化と均質性の追求ではなく、個性と共生、そして多様性を追求するこうした“ヒップ”なムーブメントが、ボルドーワインの世界でも広がっています。 

ムーブメントに拍車をかける生産者たち

photo: ©️CIVB

ボルドーは、まさにこうしたヒップな考え方を持つ世代が活躍する場所として、この上ないワイン生産地。長い歴史と確かな伝統を持ち、フランス国立農業研究所をはじめ20以上の公的な研究機関があるボルドーでは、ニューワールドと呼ばれる他国のワイン産地にも赴き、経験と新たな視点を持った30代の若手生産者が中心となって、新たな波を起こしています。

ダイナミックに、活き活きとコミュニケーション。環境問題や世界事情にもまなざしを向け、高品質でバラエティ豊かなワインをつくる。そんな新たなムーブメントに拍車をかける、代表的な4名の生産者を紹介します。

マーケティングにも長けた、スパークリングの新星


photo:Célène Bordeaux  ©️CIVB

Céline Lannoye(セリーヌ・ラノイ)

KEDEGボルドー大学でグローバル・マネジメントの修士取得後、5年にわたってワインのマーケティング・広報の経験を積み、2015年にCélène Bordeauxのジェネラル・ディレクターに就任。

一念発起し、彼女が小学生の時にワイン生産者としてのキャリアをスタートしたという母の影響を受け、彼女もワイン造りをスタート。セリーヌさんのワイナリーでは、AOCクレマン・ド・ボルドーを中心に、スパークリングワインを生産しています。

マーケティングと広報の経験を生かし、SNSを使ったプロモーションや、クッキングクラス付きのワインツーリズムなど、新しい取り組みにも挑戦しています。

Célène Bordeaux
AOC:Crémant de Bordeaux

ワインのアロマと共に育った経験を糧に


photo: ©️CIVB

Paul-Arthur BARDET (ポール=アルチュール・バルデ)

家業であるシャトーを父、弟と経営。環境に配慮したワイン生産を心がけ、テロワールからの自然な味わいを表現することを大切にしています。

ワインの香りと共に育ったポール=アルチュールさんは、確かな伝統がなければ、多様性を生み出すことができないと考え、ボルドーの権威・伝統を壊すことなく、新しいボルドーを見出していきたいと挑戦を続けています。

60 haのぶどう畑を所有し、栽培、営業、ネゴシアン会社の立ち上げなど、忙しい日々を送りながら、「Arômes de jeunesse 若いアロマの会」に参加し、ボルドーの更なる成長を目指して積極的に活動しています。

Vignoble Bardet
AOC:Saint-Emilion Grand Cru / Castillon Côtes de Bordeaux

ボルドーにおける女性進出を牽引


photo:Château de la Rivière  ©️CIVB

Manon Deville (マノン・ドゥヴィル)

29歳にして栽培&醸造責任者で、ボルドーのぶどう畑で最も若いテクニカルディレクターのひとり。導入すべき新たな農業技術や投資計画なども日々チェックし、畑の管理から醸造、アッサンブラージュ、瓶詰めまですべての工程に細心の注意を払ってワインを造っています。

常に畑の状態を区画単位で把握し、残す芽の数まで正確に頭に入っているというのですから、驚きです。

栽培責任者と醸造責任者の兼任体制をとっているワイナリーはいくつかありますが、女性がこの役職につくことはまだ多くなく、ボルドーにおける女性進出を牽引している存在です。

Château de la Rivière
AOC:Fronsac

世界を飛び回る、ボルドーの若き伝道者


photo: ©️CIVB

Jean-Jaques Dubourdieu(ジャン=ジャック・デュブルデュー)

135haのぶどう畑を所有し、幅広い種類のワインを生産。流通・販売促進責任者として、アジア、アメリカなど世界を飛び回り、視察や顧客開拓に取り組むジャン=ジャックさん。

ボルドーは種類豊富なワインを造る力があるので、インドやアフリカ、中国のような新興市場で充分な可能性があると、意欲的にボルドーの市場拡大を目指しています。

ボルドーワインの品質は確かなもの、後はどのようにプロモーションしていくのが重要だと「Bordeaux Oxygène 活力のあるボルドーの会」の一員として、ボルドーワインを更に盛り上げる活動をしています。

Denis Dubourdieu Domaine
AOC:Sauternes / Barsac / Bordeaux / Graves / Cadillac- Côtes de Bordeaux / Cadillac

新潮流を発信する、2つのグループ

上記で紹介したポール=アルチュール・バルデさんが参加している「若いアロマの会」、そしてジャン-ジャック・デュブルデューさんが一員となっている「活力あるボルドーの会」。この2つの団体は、まさにボルドーの新潮流を発信する注目のグループです。

若いアロマの会
Arômes de jeunesse Saint-Emilion


photo: ©️CIVB

2011年に設立されたこの会は、20代後半から30代の10名の会員で構成。サン・テミリオンの同じ学校の仲間が、ワインへの情熱から自然に集まるようになり、結成されたグループです。

彼らが造るワインを気取らずに飲み、ワインの印象について語り合い、実践的なアドバイスももらえるよう「ボルドーを楽しむ夕べ」というイベントを開催。形式ばらず、和気あいあいとした雰囲気で、サン・テミリオンを拠点としながら様々な販促活動を実施しています。

「信条は、ボルドーワインをより身近なものとすること。これはボルドーワインを世俗化するという意味ではありません」とメンバーであるポール=アルチュール・バルデさんは語っています。

活力あるボルドーの会
Bordeaux Oxygène


photo: ©️CIVB

「深刻になりすぎずに真面目に働こう」という考えのもと、この「活力あるボルドーの会」は 2005年に設立。フランスはもとより、アメリカ、オーストラリア、日本、イギリスなどでもイベントやディナーを重ねながら、国内外での知名度がアップしてきたグループです。

「私たちの切り札は、若さとそれぞれの企業の中で自由に行動できること」という20名の会員で構成され、ボルドーのAOC の多様性を示すことにつながっています。

「大切なことは、ボルドーワインを飲みたいという気持ちにさせること!」と語る彼らのエネルギーに新たなボルドーワインのパワーを感じます。

新たなマイルストーンになる、これからのボルドー。

photo: ©️CIVB

ボルドーワイン業界全体で広がっている、心地よい革新。そこには、クオリティとストーリーを兼ね備えたワインを日常の中で提供したいという思いがあります。

長年培われてきたノウハウを尊重し、伝統と現代性をうまく調和させ、ネットワークを組織して働き、新たな技術を活用し、事例をシェアしながら進めていく・・・そんな彼らが繰り出す、いわば“進化系”のボルドーワインの文化は、日常の中で確かなものを丁寧に味わっていきたいという消費者の心に響き、世界各国でも愛されていくワインの指標(マイルストーン)になっていくことでしょう。

情報提供:
ボルドーワイン委員会

ボルドーワイン委員会日本公式サイト
現地からの情報やレシピなどの情報が掲載されています。

 

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