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父の背中から学び未来の糧に!伝統を継承しながらも、革新するボルドーワイン

2021.6.7

6月第3日曜日は「父の日」。父親への尊敬の念とともに祝う日は、5月の母の日と同様、アメリカが起源と言われ、男手ひとつで育ててくれた父を讃えて、ドッド夫人という女性が父親の誕生月である6月に礼拝をしてもらい、白いバラを贈ったことがきっかけなのだとか。

父の日にワインを酌み交わしながら、お父さんとこれまでのこと、これからのことを話してみるのもいいものです。

そんな晩酌にぜひおすすめしたいのが、クラッシックを超え、モダンで型破りな姿へと邁進するボルドーの赤ワイン。言うなれば「温故知新」が感じられるワインの話を、今回はお届けしたいと思います。

歴史と伝統を重んじつつ、価値ある新たな未来を創造するために。今、ボルドーで起きているワインのトピックスをぜひ、親子で共有してみませんか?そこには、普遍的な学びが存在しているはずです。

まずは、色眼鏡を外そう!

まず初めにあなたは「ボルドーワインってこういうものだ」という固定観念やイメージを持っていませんか?ここはひとつ、古い先入観を一度取り払ってみましょう。

熟成した重厚なものだけでなく、若いうちから楽しめ、果実味たっぷりのモダンなボルドー赤へ。生産方法が進化し、テロワールと造り手の個性がさらにワインに表現されるようになってきたようで、ボルドーでは今、型破りで斬新なスタイルの赤ワインが続々と誕生しています。

従来からのブドウ品種を驚くような形でブレンドしたり、あるいは単一で仕込んだりしたもの、また、アンフォラや大樽など古くて新しい容器で熟成させたもの、そして、ヴィーガンワインやSO2無添加ワインなども登場しています。

ボルドー赤が切り拓く新たな地平とは?

現在、ボルドー地方の畑の89% が黒ブドウ品種の栽培にあてられています。

メルロ66%、カベルネ・ソーヴィニヨン22%、カベルネ・フラン9%、その他品種(マルベック/コット、プティ・ヴェルド、カルメネール)が3%という内訳。さらに【ボルドーの新たな認証ブドウ6品種】を徹底解説!膨大な研究からサステナブルな未来へ でも紹介したようなニューフェイスもあります。

品種の話はまた後でするとして、先にボルドー赤全体のトレンドをお伝えしましょう。

ボルドーでは今、時代に流されない古典的なワインだけでなく、モダンなスタイルを持ち、型破りで斬新な赤ワインが注目を集めています。思えば、いつの時代もボルドーという産地を支えてきたのは、革新と変化を恐れず、新しいあり方を悦びとともに創出する造り手たちでした。

生産者自らがおいしいと感じるワインであることは当然ですが、マーケットの動きも常に注視しなければなりません。昨今は、若いうちから楽しめて果実味が鮮やかしなやかで風味豊かなワインが人気ですから、ボルドーの赤のスタイルも変貌を遂げてきているというわけです。

ブドウ畑とセラーにおける進化の根は、サステナブル(持続可能)な栽培・醸造への力強い志向にもあります。加えて言うなら、気候変動がそのワイン造りを変え、新しい方向性を探るきっかけにもなりました。

新たな息吹をもたらす注目の3品種とは?

大きな取り組みとしては、【ボルドーの新たな認証ブドウ6品種】を徹底解説!膨大な研究からサステナブルな未来へ でも紹介した新品種もありますが、ボルドーのワイン用ブドウの栽培家たちが大きな関心を寄せているのが、生産の一線から一時的に退いていた、いわゆる昔ながらの品種です。

特に脚光を浴びているのが、プティ・ヴェルド、カルメネール、マルベック。 近年、こうした品種に関する理解が深まったことに加え、気候変動への対策と、新たなスタイルの赤を創出する必要から、ブレンド比率が増しているのです。

ただし、いずれの品種も長梢が折れやすいうえ、剪定が難しい収量が安定しないといった、栽培管理の面では難しいところがあります。しかしながら、造り手たちはこうした挑戦を受けて立ち、ワインの進化だけをまっすぐに見つめて畑仕事に取り組んでいるのです。

気候変動に対しては、 特にプティ・ヴェルドがよく適合していて、かつてより安定して果実が完熟するようになりました。プティ・ヴェルド、カルメネール、マルベックの3品種の栽培面積は、過去20年で1,564ヘクタールから3,192ヘクタールへと倍増しています。

品種の選択肢が増えたことで、新しいブレンドの提案が可能になり、飲み手をさらに刺激できるようになってきました。こうした補助品種がブレンドに占める比率は決して高くはないものの、ワインの新たな個性を形作るには十分で、最近では赤ワインのスタイル決定における鍵になっています。こうした品種をホールマークとして使ったブレンドのほか、単一で用いた限定生産キュヴェも造られているのです。

変貌と進化を遂げた生産方法

果実味にあふれ、若いときから楽しめるのに、熟成能力も十分にある赤ワインを実現するため、新しい手法がブドウ畑とセラーの両方で採用されています。

・すべての始まりは収穫から。摘みたて果実のアロマを損なわないよう、適熟のタイミングで収穫を実施。

・テロワールの特徴を最大限に生かすため、細分化した区画ごとに仕込みを実施。収穫から醸造完了またはブレンドまで、ワインはロットごとに育まれる。 

醸造中の人的介入は最小限に抑え、テロワール本来の魅力を光らせることに努めます。

・タンニンの抽出量を抑えるべく、マセラシオン(浸漬)を短縮。

・穏やかな抽出のために、ルモンタージュ(液循環)は状況を見ながら調整し、丁寧な作業を実施。

・土着(自生)酵母を優先的に使用。

・醸造過程のワイン移動は、強い負荷がかからないように重力を利用。

しなやかで果実味にあふれ、ほのかな樽香が彩りを添える風味豊かなワインづくりのために、熟成工程でも入念な仕上げを加えます。樽の魅力を巧みに加減しながら引き出し、バランスに秀でた味わいになるよう、 以下の手法が実践されているのです。

・小樽(バリック)の影響を抑え、樽内熟成の期間を短縮する。

・熟成に用いる新樽の割合を低減。樽の新調頻度を減らし、古樽を重用。

・熟成に伝統的なバリック小樽(225リットル)より容量の大きな樽を利用(500リットル樽やフードルなど)。

また、熟成のための容器に、木に代わる素材を採用するケースも増えています。

・コンクリートタンクまたはステンレスタンクといったニュートラルな容器。

・300〜1,000リットル容量の素焼きまたは炻器のアンフォラ(壺):木の香りをつけずに微酸化効果が得られる。

・卵型タンク : シュール・リー熟成の実験が可能。

SO2無添加ワイン&ヴィーガンワインの増加

ボルドーにおいても、SO2 (亜硫酸塩/酸化防止剤)無添加ワインや、ヴィーガンワインを提案するワイナリーが著しく増加しています。

SO2無添加ワインとは、硫黄由来の化学物質としての二酸化硫黄(SO2)を、人為的に添加していないワインのことを指します。ただし、二酸化硫黄はアルコール発酵時に微量が自然に生成されるため、もともとワインにそなわっている 物質なのです。

一方、ヴィーガンワインとは、100%植物性原料を用いたワインを指します。ワインに動物性原料が使われるのかと、不思議に思われる方もいらっしゃるでしょう。ここで問題となるのは、ろ過に使用する清澄剤です。清澄剤の多くは、動物性たんぱく質由来のもの(卵白、アイシングラス、カゼインなど)。ヴィーガンワインの生産には、植物由来(大豆、小麦、ジャガイモなど)の清澄剤を使用するか、清澄剤自体を使わないことが求められます。

ボトルデザインもモダンスタイルに

型破りの新たなボルドー赤は、中身だけでなくパッケージにもこだわりが見えます。ラベルは以前のようなデザインから大きく様変わりし、クリエイティブ、カラフル、モダンなスタイルに。シャトーの建物が描かれていたり、シャトー名を連想させるキュヴェ名が記されていたりすることがなくなり、類い希な個性の発現を見いだせるデザインになりました。

ワインボトルにも変化が見られます。ボルドーワインのボトルは、今日私たちになじみのあるあの形だけではないのです。古いブドウ品種に立ち返ろうとする造り手たちの中には、なで肩をした昔風のボトルを、あえて用いるものがいます。

ボルドーの進化。それは、ボトルの内側だけでなく外側にも表れているようです。

リスペクトから見えてくるものを大切に

時代とともに変革をすることは、伝統を蔑ろにするということではありません。歴史の中で育まれた本質があるからこそ、新たなチャレンジができるということが、ボルドーワインの”今”からも見えてきます。

英語の表現に「The apple doesn’t fall far from the tree.(リンゴは木から遠くの場所には落ちていない)」というものがあります。ネガティブなニュアンスでも使われることがありますが、子供は親に似た行動をとり、色々な面で親に似るという意味になります。

親から子へ、子から孫へ。時代の息吹を取り込みながら、生きる上で大事なことは継承されいく。英語のこの表現では、リンゴが例として使われていますが、ブドウとワインでも同じことが言えるでしょう。

感謝の気持ちとともにボルドーワインで、父の日に乾杯!

2016 シャトー・クラリス
産地
フランス・ボルドー地方
品種
メルロー
タイプ
ミディアムライト辛口 赤
2015 シャペル・ド・ポタンサック
産地
フランス・ボルドー地方
品種
カベルネ・ソーヴィニヨン
タイプ
ミディアムライト辛口 赤

情報協力
ボルドーワイン委員会(CIVB)

 

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WINE@MAGAZINE編集部
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