TOP ワイン通のあなたに プロだからこそ「大好き」に立ち返る。WINE@トップソムリエ太田賢一の魅力に迫る
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プロだからこそ「大好き」に立ち返る。WINE@トップソムリエ太田賢一の魅力に迫る

2021.4.8

誰だって“おいしいワイン”を飲みたい。でも、“おいしいワイン”って何?

「一周まわって、“大好き”という感覚を大切にしたい」と語るのは、WINE@の人気コンテンツ【WINE SELECTORS(ワインセレクターズ)】のトップソムリエの一人、太田賢一さん。

ミシュラン二つ星のフレンチレストランのシェフソムリエとして活躍。ヨーロッパはもとより、ニューワールドのワイン産地にも造詣が深い太田賢一さんに、じっくりお話を伺いました。

好みのソムリエを見つけてワインを選ぶ「WINE SELECTORS」

ワインの知識に長けている有名ソムリエやシェフ(WINE SELECTORS)が、季節や様々なシチュエーションに合うおすすめのワインを紹介。ソムリエやシェフの普段は見えないプロフィール(出身、休日の過ごし方、好みの料理など)も分かるので、自分好みのワインを選ぶ強い味方になってくれます。
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ワイン選びに欠かせない「大好き」という感覚

編集部

太田さんは、様々なワインに詳しい筋金入りのプロフェッショナル…にもかかわらず…。

太田賢一さん(以下、敬称略)

よく「銀座のソムリエらしくないねぇ」とお客様から言われますね(笑)。私は19歳の時にこの世界に入ったんですが、初めはお客様の信頼を得ようと、いかに知識を蓄えて技術を高めるかということばかり考えていました。

でも、年を重ねるにしたがって、そうした気負いはなくなりました。今は、お客様にどれだけ寄り添えるか、いかに素敵な雰囲気でワインを楽しんでもらえるか、ということに主眼をおいています。

編集部

太田さんご自身の変化だけでなく、時代とともに求められるものも変化しているのでしょうか?

太田

“バッジのついたソムリエコートに革のエプロン”という格好で、お客様もワインのことをご存じという前提でサービスをするという旧来のスタイルを求められることは、確かに少なくなってきています。

ラベルをスマホにかざすだけで、ワインの基本情報がわかってしまう時代。そんな中で、今の私がワインをチョイスする際に大切にしているのが、「大好き」という気持ちです。一周まわって「大好き」という感覚を大切にしたいと思っています。

編集部

太田さんがチョイスするワインは、ご自身が大好きなワインばかり。本当に楽しそうにワインについて語られますよね。

「仕事は遊び、遊びは仕事」がモットー

編集部

太田さんは何かモットーのようなものはありますか?

太田

キャリアを積み、年齢を重ねるうちに思い至ったのは、公私混同を良しとするということ。だから、今のモットーは「仕事は遊び、遊びは仕事」です。

編集部

実際、完全なオフはなく、ものすごく多忙な日常ですよね?

太田

通常勤務に加え、ワインスクールの講師もしていますので、事実上、休日はありません。でもある時「そもそもこの仕事が大好きなんだから、それでもいいんだ」と気づいたんです。だから、趣味は仕事です(笑)

編集部

とは言え、何か仕事以外で趣味はあったりしますか?

太田

食べ歩きでしょうか?これも仕事に近いかな(笑)。エンゲル係数はかなり高いと思います。

編集部

フレンチやイタリアンがやはり多いのでしょうか?

太田

もちろんそういうところにも行きますが、実はラーメンが大好きで…。北海道出身なので、味噌とか濃厚な鶏白湯とか、濃い味のものが好みと思われがちですが、年齢を重ねて、今は淡麗系のスープに惹かれています。職場がある銀座エリアのラーメン店は、結構いろいろ行っていますよ。

あと、甘いものも食べますね。肉体的に疲労している時のビッグサイズのプッチンプリンは、まさに癒しです!(笑)

心が動くワインは、語らいを生む

編集部

ワイン選びでは、「大好き」という感覚を大切にされているとのことでしたが、そこにも何か基準はあるのでしょうか?

太田

基準と言えるか分かりませんが、「歴史、文化、人の背景があるワイン」に心が動きます。味わいや香りの良さは当然として、ワインにはさまざまな側面があります。ペアリングを考える時も、歴史や文化、造り手のフィロソフィーやその土地に生きる人びとの気性などを鑑みると、実はとても幅が広くなる。

編集部

その土地ではどんな料理に合わせているか、というような?

太田

単なる“産地合わせ”だけでなく、食べたい料理が浮かんでくるワインは、良いワインだと思います。あと、そのワインが育まれた情景が浮かんでくるようなワイン。海外に行きたくてもなかなか行けない今のような状況では、ワインで旅行気分を味わうことができるということも大事な要素ですから。

編集部

家でもそういうワインを召し上がっているのでしょうか?

太田

一人ではワインはあまり飲みません。ワインは“語らいたくなる飲み物”なので、やはり友人や仲間と飲みたいですね。こういう時期なので、なかなか難しいですが。

家ではもっぱらビールですよ。しかも、缶ビール。ガスをしっかり感じられるように、舌をちょっと凹ませて、缶からダイレクトに飲むのがこだわりです(笑)

編集部

炭酸の刺激を100%堪能するわけですね(笑)。ちなみに、語らいたくなるワインは、単体だけでなく、あれやこれやマリアージュを考えたりするのも楽しいですよね。

太田

グランメゾンのサービスで「この一皿!」という料理に合わせておすすめする場合は、ピンポイントですが、普段飲みや親しい仲間とワインを飲む時は、もっと自由な発想でペアリングを楽しんだ方がいいと思います。

BYOなどは、冒険的なペアリングが楽しめるよい機会ですよね。誰も発見したことのない意外なペアリングを見つけられるかもしれないですし、そういう席では「合わない」という発見も楽しい経験になるはず。ワインを楽しむ場に同席している仲間や家族を愛すること、それがとても大事ですよね。

ラストの「瞬間芸術」に関わるよろこび

編集部

最後に、太田さんがソムリエとして大切にしていることを教えてください。

太田

ペアリング一つとっても、知識やロジックで終始する時代ではなくなってきていると思います。造り手の多くは、先代の想いを引き継ぎ、育み、それを次代へと繋げながら、素晴らしいワインを生み出しています。

私たちソムリエは、その大きな流れの中にいて、お客様に、造り手の想いの橋渡しをしている。実はソムリエの仕事は、その最前線であり、最後の仕上げだと考えています。

開けて、飲むことでワインは完結する。“瞬間芸術”とも言える、そのワインの最後の1ページに関わる責任感は、常に忘れずにいようと心がけています。

太田賢一(おおた・けんいち)
ミシュラン二つ星フレンチレストランのシェフソムリエ。世界各国のワイン産地訪問多数。フランスワインはもちろん、ニューワールドにも幅広く深い造詣を持ち、銀座の高級中国料理の名店に在籍した経験もあるゆえに中国料理にも精通している。ワインスクールの講師や、ワイン専門誌等でも活躍。好きな言葉は「情熱は論理を凌駕する。」

■Myワイン評価基準
純粋に自分自身が「大好き」と言える
おいしさは当然として、歴史、文化、人の背景がある
飲みたいシチュエーションと食べたい料理が浮かんでくる

■太田賢一さんがセレクトするおすすめワイン&詳しいプロフィールは こちら

 

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