1人分から手軽に作れるということもあり、すっかり日本の食卓にも馴染んだパスタ。スパゲッティをはじめ、パスタには様々な種類があり、ソースも多彩です。
本国イタリアには地方ごとに多種多様な形状のパスタがあります。そして郷土の食材を使った“マンマ”のパスタ料理があり、その郷土のワインを飲みながら楽しむのがセオリーではありますが、パスタ料理の味わいそのものに注目すれば、ワイン選びの幅はもっと広がります。
そこで今回は、まずパスタソースのタイプ別に分けながら、基本のワインペアリングを探究。イタリアワインだけでなく、世界各国のお手頃ワインも選択肢に入れて、家ごはんや家飲みで、おいしく気軽に楽しむ組み合わせを紹介していきます。
そして、最後に「パスタ&ワインを店で楽しむならここ!」という編集部おすすめのイタリアンもご紹介。BYOもできる店をセレクトしましたので、ぜひ参考にしてみてください。
緊急事態宣言・まん延防止等重点措置等が発出中は、酒類の提供の他、営業時間やメニュー等の変更もありますので、最新情報は各店舗にてご確認ください。
【ペアリングの基本&コツ】をまずはおさらい!
パスタに限らず、料理とワインのペアリングには基本やコツがあり、このWINE@マガジンでも色々な料理をテーマに紹介しています。パスタソース別の考察に入る前に、まずはちょっとおさらいしておきましょう。
ポイント1:「色」を合わせる
ワインの知識があまりない!という方は、まず「色」に注目してみましょう。白っぽい料理には白ワイン、赤茶色の料理には赤ワインという単純な考え方です。もちろんこれは絶対的な法則ではありませんが、ワイン超初心者はまずそれを入り口にして好みを探っていくのも一つの手です。
ポイント2:「香り」を合わせる
料理に使われる食材そのものの香りも大事な要素。例えば、青々しい野菜の香りがある料理には、ソーヴィニヨン・ブランの白ワインやカベルネ系のブドウの赤ワインを合わせるといった具合です。また香ばしく焼いたものであれば、樽熟成したワインがおすすめ。カラメルやトーストのような樽由来のワインの香りが、その食材の香ばしさとよくマッチします。
ポイント3:「味のバランス」を考える
料理上手な方やワイン上級者は、ここに注目。甘味、酸味、塩味、苦味、うま味を基本の五味と言います。その料理にはどんな味わいがあるのかに注目し、ワインが持つ味わいとのバランスを考えると、ベストマッチするワインが選べるようになります。
ペアリングの世界は奥が深く、絶対的な正解というものはありません。今回はパスタ料理をソースのタイプ別に分けつつ、特に「香り」と「味のバランス」に注目して、おすすめのペアリングワインをご紹介していきますが、それらも選択肢に過ぎません。「おいしそう!試してみたい!」と思うものがあれば、ぜひ参考にしてみてください。
【トマトソース系】酸味とうま味が詰まった王道パスタ
そもそもパスタは「生地、ペースト」を意味するイタリア語で、その誕生については諸説ありますが、古代ローマ時代から小麦粉と水を捏ねて作られてきたシンプルなもの。多彩なソースを絡めたスタイルは、大航海時代に南米からもたらされたトマトが大きな影響を及ぼしたと言われています。
ポモドーロ/アマトリチャーナ
完熟したトマトは、うま味成分の一つであるグルタミン酸がたっぷり。酸味も伴い、しっかりした味わいのソースができます。
その味を全面に出したパスタといえば、ポモドーロ(イタリア語で「トマト」の意味)。また、タマネギ、パンチェッタ、羊乳のチーズを使ったローマ生まれのアマトリチャーナも代表格と言えるでしょう。
トマトソース系には、フルーティな酸味と軽やかなうま味があるワイン、アルコールや渋みは軽めの赤かロゼがおすすめです。バルベラ種の赤ワインはピエモンテを中心とした北部で主に造られますが、味わいとしては南部のトマト料理ともよく合います。
ペスカトーレ/ヴォンゴレ・ロッソ
トマトソース系でも、シーフードを具材としたペスカトーレやヴォンゴレ・ロッソは、磯の風味も大事なポイント。魚介のうま味や潮のニュアンスを受け止めてくれる、南仏プロヴァンスのドライなロゼワインはとてもよく合います。
【ラグーソース系】煮込んで凝縮したうま味たっぷりのパスタ
トマトピューレなどを使いつつも、肉などと一緒に煮込んだラグーのソースは、うま味がさらに凝縮し、香ばしさなども加わって複雑な味わいになったものが多くあります。
ボロニェーゼ/ラザーニャ
ミートソースの名前でおなじみのボロニェーゼ(ボロネーゼ)や、板状のパスタとソースを重ねて焼き上げるラザーニャ(ラザニア)は、日本でも安定の人気を誇るパスタ料理。パルミジャーノ・レッジャーノなどのチーズも欠かせない濃厚な味わいなので、果実味もアルコールもしっかりあって渋みも感じる赤ワインがよく合います。
キアンティ(キャンティ)など、サンジョヴェーゼやメルローを使ったトスカーナのワインは、肉やチーズのうま味にも共鳴するワインです。
本格的なボロニェーゼのレシピやパルミジャーノ・レッジャーノ、イタリアワインとのペアリングについて詳しく知りたい方は【イタリアワイン&チーズの王様】3種の楽しみ方とプロ直伝のパスタレシピ もチェック!
【クリーミー系】舌触りも濃厚なコク豊かパスタ
香りや味わいと同様に大事なのは、舌で感じる感覚。ねっとり、しっとり、サラサラなどの舌触りや口当たりはテクスチャーとも呼ばれ、料理でもワインでもキーポイントになっています。
サーモンクリーム/きのこクリーム
クリームソースのパスタは、なめらかで濃厚なテクスチャーも魅力。サーモンクリームやきのこクリームのパスタは日本人にも人気のメニューです。
なめらかで乳脂肪の風味も豊かなパスタ料理には、酸味がまろやかで凝縮感があり、ほんのり樽由来の香ばしさがあるシャルドネがおすすめです。
カルボナーラ
本場ローマでは生クリームは絶対に使わないカルボナーラも、ペコリーノ・ロマーノという羊乳チーズと卵黄が決め手で、濃厚でクリーミーなテクスチャーが特徴的です。
黒胡椒も効かせたカルボナーラには、まろやかな酸味としっかりした果実味、さらにフレッシュアーモンドのような軽い香ばしさがある白ワインが相性抜群。マルヴァジア種主体の白ワインや、ヴェルメンティーノ、ヴェルディッキオ、フィアーノといったイタリア品種の白ワインがやはりよく合います。
カルボナーラとワインについては、本格&簡単【カルボナーラ】のレシピ という記事で詳しく解説しています。
【オイルベース系】素材の味を活かしたシンプルパスタ
オリーブオイルと具材の風味をシンプルに生かしたオイルベース系のパスタには、どんなワインが合うでしょうか。
アーリオ・オリオ・ペペロンチーノ
オイルベース系の代表と言えば、アーリオ・オリオ・ペペロンチーノの右に出るパスタはないでしょう。日本では単に「ペペロンチーノ」と呼ばれることが多いのですが、ペペロンチーノは唐辛子のこと。イタリア語で、アーリオはニンニク、オリオはオイルを意味しますので、正式名称は「アーリオ・オリオ・ペペロンチーノ」となります。
また、唐辛子を使ったパスタで日本でも人気のものといえば、ペンネ・アラビアータを忘れてはいけません。こちらはトマトソースがベースではありますが、味の決め手はやはり、ペペロンチーノ。
唐辛子が日常の食文化に溶け込んでいるカラブリア州。彼の地の土着品種、ガリオッポから造られたロザート(ロゼ)なら、アーリオ・オリオ・ペペロンチーノにもペンネ・アラビアータにもぴったりです。
ヴォンゴレ・ビアンコ
トマトソースのヴォンゴレ・ロッソではなく、ヴォンゴレ・ビアンコもここで考察しておきましょう。
アサリのうま味と舌にじわっとくるミネラル感がストレートに味わえるパスタなので、ここは迷わず潮のミネラル感がある白ワインをチョイス。
ほろ苦い後味と柑橘系の酸味があるイタリア・シチリアの白はもちろん、スペインやポルトガルのアルバリーニョもおすすめです。
【その他バラエティ系】風味しっかりの人気のパスタ
ソース別でカテゴライズするのは難しい個性派&大人気のパスタ3種を、最後に考察しておきましょう。
ジェノヴェーゼ
バジルの緑が目にも鮮やかなジェノヴェーゼ。北部のリグーリア州生まれのパスタですが、同郷のチンクエ・テッレは入手しづらい白ワインなので、香りや味わいから考えてみましょう。
バジルの青々しい香りに加え、パルミジャーノ・レッジャーノと松の実のコクが効いた味わいなので、ハーブのさわやかな香りはありつつも、樽熟成によるナッツの香りや果実味やアルコールからくる厚み(ボディ)が感じられる白ワインがよく合います。ボルドーの白ワインは、そんな条件を兼ね備えたものが多くあります。
たらこ・明太子
お次は“和風パスタの代名詞”とも言える、たらこや明太子のパスタ。オリーブオイルではなくバターで調味され、最後にかけられる海苔の風味がプラスされたこのパスタには、酸化熟成の風味がある辛口シェリーやヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)が実はよく合います。
ですが、手頃なワインで選ぶなら醸し系の白ワインやオレンジワインがおすすめ。ゆずや夏みかんのような和柑橘を思わせる酸味とほのかな苦味があるこのオレンジワインは、じわっとしたうま味も特徴的で、たらこや明太子だけでなく、バターのまろやかさも受け止めてくれます。
ナポリタン
最後に、定期的に食べたくなってしまう日本人のソウルフードの一つ、ナポリタン。ハムやソーセージ、ピーマン、タマネギを炒め、ケチャップで味付けしたこの洋食パスタには、マイルドな酸味とフルーティな果実由来の甘みがある軽めの赤ワインがおすすめです。
ボージョレ・ヌーボーや日本のマスカット・ベーリーAのワインがよく合いますが、ナポリタンに入っているピーマンの青々した風味が浮かないよう、少し似たような香りがあるロワールのこの赤もなかなかのもの。ちょっと意外で斬新なペアリングが体験できると思います。
人気のパスタとのペアリングワインをソースのタイプ別でご紹介してきましたが、家ごはんのパスタに関しては、軽やかに楽しむこともとても大事。気負わずに自分好みのワインを見つけていただければと思います。
料理とワインのマリアージュやペアリングの基本や原則をしっかりと押さえておきたい!という方は、みんなが言う「マリアージュ」って何?ペアリングとどう違う?3原則&定番も一挙紹介! をチェック!
BYOもできる!おいしいパスタが食べられるイタリアン3軒
それでは、最後に「パスタ&ワインを店で楽しむならここ!」という編集部おすすめのイタリアンで、BYOもできる3軒をご紹介しましょう。
緊急事態宣言・まん延防止等重点措置等が発出中は、酒類の提供の他、営業時間やメニュー等の変更もありますので、最新情報は各店舗にてご確認ください。
■BYOの基本を知りたいという方は、以下の記事をチェック!
【飲食店へのワインの持ち込み】基本のキ
【飲食店へのワインの持ち込み】10の質問、徹底的に答えます!
手軽で便利!【WINE@】を活用してBYOを楽しむ方法
Trattoria Da Kenzo(横浜・馬車道)
WINE@のWINE SELECTORSとしても大活躍のソムリエ、矢野航さんが勤めるトラットリア。素材の持ち味を知り尽くしたシェフによるパスタも絶品です。矢野さんセレクトのワインで楽しむのが王道ですが、BYOでサービスをしてもらうのも楽しそうです。
Trattoria Da Kenzo
-
住所:〒231-0012 神奈川県横浜市中区相生町5-78 清栄ビル3F
-
TEL:045-298-3737
>詳しい店舗情報はこちら
(La Fabbrica Della Pasta) Quel(本郷三丁目)
店名に“パスタ工房”と掲げるほど、郷土感あふれる手打ちのパスタフレスカ(生パスタ)にこだわった店で、ワインは自然派のロゼやオレンジワインが揃います。BYOでも、シェフソムリエシリーズのワイングラスが使用でき、WINE@オンラインショップからのワイン直送も可能。
(La Fabbrica Della Pasta) Quel
-
住所:〒113-0033 東京都文京区本郷2-26-11 浜田ビル1F
-
TEL:03-6801-8853
>詳しい店舗情報はこちら
QUINDI(代々木上原)
食の世界のプロも通う一軒で、店内は物販ショップとレストランが共存。直接生産者に会って目利きをした食材のみを使用し、その時期、その日の仕入れ状況によってアラカルトメニューが変わります。WINE@オンラインショップから直送したワインや店内で販売しているワインでBYOをすることもできます。
QUINDI
-
住所:〒151-0061 東京都渋谷区上原2-48-12 東洋代々木上原コーポ101
-
TEL:03-6407-0703
>詳しい店舗情報はこちら