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【チーズケーキ&ワイン】6種のタイプ別で学ぶペアリングのコツ

2021.9.13

多種多様なチーズケーキ。「甘いものは普段あまり食べない」というワイン好きにも「チーズケーキは別!」という方は多いはず。それは、甘味と酸味だけでなく、塩味とうま味がプラスされたスイーツで、ワインにも合う要素が多いからかもしれません。

そこで今回は、6種のタイプ別のチーズケーキを軸に、ワイン好きのみなさんがよりおいしく楽しめるようなペアリングを、チーズプロフェッショナルでフランスチーズ鑑評騎士(シュヴァリエ)でもある編集長の佐野が考案。

味わいはもちろん、香りや食感も重要なポイントになります。

【チーズテリーヌ】ちょっと凍った食感も魅力のニューフェイス

ここ数年、日本でググッと頭角を現してきたのが、チーズテリーヌ。パウンド型を使って湯せんで焼く、シンプルな四角いチーズケーキです。

クリームチーズのほかに、サワークリームや生クリームを使うものが多く、なめらかでとろける口溶けが最大の特徴。イタリアのプリンを彷彿とさせるシンプルな見た目と食感が魅力で、半分凍ったくらいの状態で食べるのもまたおいしいと話題です。

このニューフェイスには、華やかな香りがあり、凛とした酸味も感じる上品なシロップのようなワインが最高にマッチ。遅摘みや凍結で糖度を上げたブドウから造られるフランス・アルザスやドイツなどのリースリングなら間違いなしです。

ホーフ・ファルケンシュタイン シュペトレーゼ オイヒャリウスベルク リースリング 2018
産地
ドイツ / モーゼル地方
品種
リースリング100%
タイプ
ミディアムライト 中甘口(セミスイート) 白ワイン

「甘口ワインはちょっと苦手…」という方は、さわやかな酸味とともにパイナップルのような熟した果実味があり、樽熟成によるバニラのような香りも兼ね備えたシャルドネを合わせてみましょう。

ホドルス・クリーク / ヤラ・ヴァレー シャルドネ 2019
産地
オーストラリア
品種
シャルドネ
タイプ
ミディアムライト辛口 白

【バスクチーズケーキ】すっかり定着した香ばしねっとり系

日本でもすっかり定着したバスクチーズケーキ。発祥は、スペイン北東部にあるバスクのサン・セバスチャンの店「ラ・ビーニャ(La Viña)」。世界有数の美食の街にあるこの店の名物「タルタ・デ・ケソ(Tarta de queso)=チーズケーキ」が、郷土の名前“バスク”を伴って、日本にも広まったというわけです。

詳しくは【ブルーチーズ香るバスク風チーズケーキ】簡単だけどワインに合う!プロ直伝のレシピ をチェック!

たっぷりのクリームチーズを使い、小麦粉はほんの少ししか入れないので、中身はクリーミーでトロトロ。冷蔵庫でしっかり冷やせば、ねっとりとした食感になります。

しっかりとついた焦げ目も、バスクチーズケーキの大きな特徴。その香ばしさを受け止めながら、クリーミーで濃厚な味わいを一段引き上げてくれるのは、同郷スペインのテンプラニーリョの赤ワイン。

アメリカンチェリーのような果実の香りとともに、大樽熟成からくるちょっと燻したようなアロマがアクセントになって、ケーキを食べる手が止まらなくなるはずです。

マルケス・デ・カセレス / グラン・レゼルヴァ 2014
産地
スペイン / ラ・リオハ州 / リオハ
品種
テンプラニーリョ85%、ガルナッチャ・ティンタ(グルナッシュ)8%、グラシアーノ7%
タイプ
赤ワイン - 辛口 - ミディアムフル

【NYチーズケーキ】ベリーのジャムも欠かせない濃密ストロング系

クリームチーズたっぷりで、食感も味わいもバスクチーズケーキ以上に濃密なのが、ニューヨークチーズケーキ。レシピに定義はありませんが、小麦粉ではなくコーンスターチを使うことで、あの濃密な生地が出来あがります。

下地にはグラハムクッキーを使うことが多く、その塩味と香ばしさ、ザクザクした食感もポイント。また、ブルーベリーやイチゴなどのジャム(ソース)が添えられているのも定番です。

こってりしたチーズ生地、クッキーのベース、ベリー系のソースというストロングスタイルなので、複雑で華奢な風味のワインでは釣り合いがとれません。ここは、ジャムのような果実味としっかりしたアルコール感がある赤ワインで、がっぷり四つに構えましょう。おすすめは、凝縮感のあるジンファンデルです。

クライン / オールド・ヴァイン ジンファンデル ロダイ 2019
産地
アメリカ / カリフォルニア州 / セントラル・ヴァレー / ロダイ
品種
ジンファンデル
タイプ
赤ワイン - 辛口 - ミディアムフル

【スフレチーズケーキ】あなたはふわふわ派?しっとり派?

どっしりしたニューヨークチーズケーキの対極にあるのが、スフレタイプのチーズケーキ。実は、日本が発祥と言われています。

日本人が大好きなふわふわの食感とやさしい甘味。生クリームの代わりに牛乳を使用したり、メレンゲを混ぜたりすることで、この“癒し系”の味わいが生まれます。

スフレチーズケーキは1990年代、大阪を中心に一大ブームに。最近は「台湾カステラ」が日本で人気ですが、もともとカステラの食文化が根付いていたことも、スフレチーズケーキの人気に一役買っていたのかもしれません。

今やヘルシー嗜好の流れもあって海外でも作られていますが、「ジャパニーズ・チーズケーキ」という呼び名もあるのだとか。

ふんわり食感とやさしい口溶けには、スパークリングの赤ワインがおすすめ。やや甘口でベリーの風味がよく合います。

ブヴェ・ラデュべ / ルビー・エクセランス ドゥミ・セック N.V.
産地
フランス / ロワール地方
品種
カベルネ・フラン、ガメイ、グロロー
タイプ
赤スパークリングワイン - 中甘口(セミスイート) - ミディアムフル

また、“ふんわり”というより“しっとり”とした感じのスフレチーズケーキの場合は、アンズと紅茶の香りがあるオレンジワインがぴったり。

伝統的なルカツィテリという品種から造られ、クヴェヴリと呼ばれる素焼きの粘土製の甕容器で発酵熟成させたワインには、ほどよい酸味と渋みもあり、あと一口を誘います。

ヴァジアニ・カンパニー マカシヴィリ・ワイン・セラー ルカツィテリ 2019
産地
ジョージア・カヘティ
品種
ルカツィテリ100%
タイプ
ミディアムフル辛口 オレンジ(アンバー)

【レアチーズケーキ】柑橘の酸味が決め手のさわやか系

しっとり系でもフレッシュな酸味を楽しめるのが、レアチーズケーキ。

クリームチーズや生クリームなどの具材をゼラチンで冷やし固めたり、レモンの酸によってチーズのタンパク質を凝固させたりして、焼かずに作られるため“レア(生)”と呼ばれています。

日本のチーズケーキシーンの中では意外と古参で、1960年代に登場。真っ白なビジュアルとさわやかな味わいで、ロングセラーとなっています。

レモンのフレーバーと乳脂肪のコクに合うのは、フレッシュなマスカットの香りがある、ほんのり甘いスパークリングワイン。イタリア・ピエモンテ州で造られるアスティ・スプマンテが最も有名ですが、南米ブラジルのワインにベストな1本を発見!

マスカットらしい香りはもちろん、バラやジャスミンなどのアロマも特徴的で、酸味と甘味のバランスがよく、さわやかな後味。口当たりもクリーミーです。

サルトン / インテンソ スパークリング マスカット N.V.
産地
ブラジル
品種
モスカート
タイプ
ミディアムライトやや甘口 スパークリング(白)

【ベイクドチーズケーキ】チーズの風味をダイレクトに感じる基本系

ラストにご紹介するのは、基本のベイクドチーズケーキ。

バスクチーズケーキやニューヨークチーズケーキも“焼く”ので、ベイクドチーズケーキの一種ですが、ここでは、クリームチーズと小麦粉が基本材料で、オーブンでこんがり焼き上げたチーズケーキを取り上げたいと思います。

小麦粉が入ることでしっかりとした食感が生まれ、チーズそのものの味わいが楽しめるのが特徴。クリームチーズをベースに、ゴーダやカマンベールなどのチーズをブレンドして、より“チーズ感”を高めたものもあります。

焼き上げによる香ばしい風味と、素材としてのチーズの味わいを素直に高めてくれるのは、リンゴのアロマとほんのりトーストのような香ばしさがあるスパークリングワイン。

シャンパンはもちろんよく合いますが、「高価なワインはちょっと…」という方には、チリやオーストラリアのシャルドネの泡がおすすめです。

ヤランバ / フォーク&スプーン スパークリング ブリュット N.V.
産地
オーストラリア
品種
シャルドネ60%、ピノ・ノワール40%
タイプ
ミディアムライト辛口 スパークリング(白)

チーズケーキ&ワインで、大人のリラックスタイムを

世界にはもっとたくさんのチーズケーキがあります。イタリアンでおなじみの「ティラミス」もマスカルポーネというフレッシュチーズを使っているので、チーズケーキの一種と言えますし、チョコレート味や抹茶味といったフレーバー展開もあります。

スイーツのペアリングには、コーヒーや紅茶が定番。渋み(タンニン)や苦みを重ねることで甘味を中和し、口の中をさっぱりさせてくれる効果があるからです。

でもチーズケーキの場合は、ほかのスイーツと比べると食感や風味のバリエーションが多いので、同じく多種多様な要素を持つワインもおすすめです。

チーズケーキ&ワインのペアリング。

家でもちょっとしたレストラン気分が味わえるので、6種のタイプ別での今回の考案を参考にしつつ、みなさんもぜひお試しください。

 

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佐野 嘉彦
ニューヨーク発祥のレストラン評価ガイド『ZAGAT』日本版の編集マネージャー、ワインスクールでの講師、料理通信社での勤務、チーズに特化したWebマガジンの編集長を経て、現在「sembrar(センブラール)」を屋号とし、食を中心とした情報発信を行っている。JSA認定ワインエキスパート、NPO法人チーズプロフェッショナル協会幹事、Guilde Club Japon認定コンパニョン・ド・サントュギュゾン、フランスチーズ鑑評騎士(シュヴァリエ)。
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