三寒四温の日々が続きますが、3月3日の桃の節句“ひな祭り”は、春を感じる年中行事。女の子の健やかな成長を願うお祝いではありますが、大人もワイン&チーズを楽しみながら、春の訪れを五感で感じてみませんか?
あまり気負わず、一足早いお花見気分も手軽に楽しむために…テーブルの上でワインと一緒に味わえるチーズの楽しみ方を、料理研究家でチーズプロフェッショナルの資格も持つ小野孝予さんに教わりました。
小野さんが提案するのは「チーズアシェット」なる、ちょっと新しい楽しみ方。その説明とともに、誰でも簡単にできる3品の作り方(レシピ)や、大人のひな祭りにぴったりなロゼワインを紹介していきます。
この記事の目次
【チーズアシェット】って何?
チーズアシェットは、実は造語。チーズの小さな盛り合わせやカットしたチーズにひと手間加えたものを、フランス語でアシェット・ド・フロマージュ(Assiette de fromages)と言いますが、ちょっと日本人には長くて覚えづらい…。そこで、チーズプロフェッショナル協会の幹事でもある小野さんは、あえて「チーズアシェット」と名付けました。
小野さんによるチーズアシェットのコンセプトは「プラトー以上お料理未満」。
日本のチーズ業界では、カットしたチーズやフルーツなどをきれいに盛り合わせたものをチーズプラトーと呼ぶのですが、そもそもこの言葉も、実はお盆や大皿に盛られたチーズを意味するフランス語の「プラトー・ド・フロマージュ(Plateau de fromages)」からきた造語です。
「チーズアシェット」はカット&盛り付けで終わりません。料理というほどではないものの、ひと手間加えた“おつまみ”のようなものなので、色々な種類のチーズを活用することができますし、量も少しでOK!ワイン好きにもたまらない楽しみ方です。
またチーズアシェットは、食べ余してしまったチーズや冷蔵庫の片隅で賞味期限間近になってしまっているチーズを食べ切ることにもつながるので、エシカルな食のスタイルでもあると言えるでしょう。
小野孝予(おの・たかよ)
料理研究家、ソムリエ、チーズプロフェッショナル、シュヴァリエ・デュ・タストフロマージュ。
横浜市青葉区で家庭料理、チーズ&ワインの教室を主宰。コロナ禍を機にZOOMオンラインレッスンも開始。外部セミナー講師、WEB&雑誌のコラム執筆、企業へのレシピ考案、商品開発やメディア出演。昨今は腸活&育菌=アンチエイジング、チーズアシェットに興味を持ち、あれこれ模索中。著書に『チーズ☆マジック おいしい、みんな大好き!ごちそう家ごはん』(清流出版)。
【レシピ3品】ひな祭り気分が上がる!簡単チーズアシェット
小野さんによる「桃の節句のチーズアシェット」には色々なものがありますが、その中から、ワインが飲みたくなる&誰でも簡単に作れる3品をご紹介しましょう。
カマンベール&林檎&鴨ハム
スライスした鴨ハム、リンゴ、カマンベールを重ねるだけで完成!ハムはさっぱりとした味わいのものがおすすめなので鴨ハムがベストですが、なければ鶏肉のハムでOK。カマンベールチーズは、スーパーやコンビニで買えるもので構いません。リンゴは、香りと酸味が持ち味の「紅玉」が特におすすめです。
お好みで、仕上げにクルミとディルをのせて、クルミオイルを垂らせば、さらに風味豊かに。ワインとの相性もグッと高まります。クルミオイルは、ナッツ系のオイルであれば代用可能です。
モッツアレラのぬた
分葱(わけぎ)を3cmの長さに切り、電子レンジでしんなりするまで加熱。1cm厚さにスライスしたモッツァレッラの上に分葱をのせて酢味噌をかけ、柚子の皮の千切りを最後に散らせば、和の香りも豊かなチーズアシェットの出来上がりです。
モッツァレッラもスーパーで手軽に買えるものでOK。酢味噌も市販のものを使えば、お手軽です。また、分葱の代わりに普通の長ネギを使ってもおいしくできます。
イチゴ・金柑&ブルーチーズのアミューズ
イチゴは、ヘタの反対側から放射線状に6カ所切れ込みを入れ、そこにブルーチーズを少量詰めるだけ。金柑は、ヘタ側から横に切って、中身を繰り抜き、ブルーチーズと中身を混ぜ合わせたものを入れ戻せば、出来あがり。
葉がついた金柑ならその葉が烏帽子のように見えるので、まるでお内裏(だいり)様(男雛と女雛)のような仕上がりに!
余談ですが、童謡『うれしいひなまつり』の歌詞の中に「お内裏様とお雛様、二人並んですまし顔」という歌詞があることから、「お内裏様=男雛」と思っている人が多いと思いますが、さにあらず。
そもそも「内裏」とは、天皇が儀式や執務などを行う私的区域の名称、つまり今に置き換えれば「皇居」のこと。そのため「お内裏様=天皇と皇后(男雛と女雛)の両方」と捉えるのが通例です。
…と、話が逸れましたが、ひな祭り気分がグッと上がる3品のチーズアシェットの作り方をご紹介しました。今度は、桃の節句のチーズアシェットにぴったりな“桃色ロゼワイン”を3本ご紹介したいと思います。
桃色ペアリング!編集部おすすめのロゼワイン3本
一年を通して、色々な食事に合わせやすいロゼワインですが、春のチーズアシェットと一緒に味わいたいおすすめの3本を編集部で厳選しました。
ほんのり甘くて、ちょっぴりシュワっとするロゼ
南オーストラリアで造られる、甘味のある微発泡ロゼです。2種のモスカート(マスカット)が原料ですが、1種は、突然変異により果皮の色が赤くなったという、ミュスカ・ルージュ・ア・プティ・グラン。フレッシュなイチゴやトロピカルフルーツの風味が印象的で、アルコール度も8.5%と、アペリティフにぴったりのワインです。
味はドライ!ジャケ買いしたいガーリーなロゼ
南オーストラリアからもう1本。クラシックなデザインの花のラベルが目を引く、シラーズ100%の辛口ロゼです。3種のデザインがありますが、中身は同じ。こちらもイチゴの香りがメインで、ほんのりジンジャーのようなスパイシーな香りも。程よい酸がバランスよく感じられます。
果実味がグッとくる!“情熱”という名の注目ロゼ
3本の中では一番飲み応えがあるロゼです。スペインの土着品種で今、注目を集めるボバル100%のワインで、果実味しっかり。チェリーやイチゴなどの豊かな香りに加え、ほのかにバラの花びらを思わせる繊細なアロマもあります。ブドウ品種ボバルへの「パシオン(情熱)」がその名の由来です。
【ひな祭り・桃の節句】の食文化で、豊かな時間を
春気分を堪能するチーズアシェット&ロゼワイン。大人ならではの楽しみ方で、桃の節句を祝うのもオツなものです。
ひな祭りにまつわる食べ物には、色々なものがあります。例えば、菱餅(ひしもち)。水面に拡がって繁るヒシ(菱)の形は、成長や繁栄のシンボルとされています。ひなあられは、菱餅を砕いて焼いたのが発祥とも言われていて、女の子の健やかな成長と豊かな人生への願いが込められているのだそう。
その他にも、海老やレンコンなど縁起の良い具材をふんだんに使ったちらし寿司や、一生添い遂げる仲の良い夫婦を想起させる二枚貝を使ったハマグリのお吸い物も、ひな祭りの料理。
小野さんが提案するアシェットには、実はチーズを使ったちらし寿司やお吸い物も。季節を感じながら、手軽に楽しめるチーズアシェット。ご興味のある方は、ぜひ下記の情報もチェックしてみてください。
■チーズアシェット(チーズプロフェッショナル協会公式)
情報提供&情報交換の場、皆様との交流を深めるコミュニティが誕生!
・Facebookグループページは こちら
・LINE公式アカウントは こちら協力:NPO法人チーズプロフェッショナル協会(C.P.A.)
チーズの啓発普及を目的に、2000年に発足した特定非営利活動法人。「チーズプロフェッショナル資格認定試験」や「チーズ検定」といったチーズの正しい知識と技術を広く伝えるための活動のほか、日本独自のチーズ文化を創造していくこと、またチーズに関わる全ての人たちを応援するということをミッションに活動している。
■ワイン好きにも人気!あの簡単チーズケーキも小野さんのレシピ。
WINE@MAGAZINEの人気記事 【ブルーチーズ香るバスク風チーズケーキ】簡単だけどワインに合う!プロ直伝のレシピ も、小野孝予さんによるもの。スイーツ好きならこちらもチェック!